
ズキズキする頭、体の節々が痛い…。
体温計を見たら熱が。でも、頭に浮かぶのは仕事のことばかり。
「今日だけは休めない」「みんなに迷惑がかかる」そんな罪悪感と責任感で、無理して出社しようとしていませんか?
その気持ち、痛いほどわかります。
でも、休むことは決して“逃げ”ではありません。
この記事では、あなたの辛い体に寄り添いながら、休むべきかどうかの明確な判断基準と、職場に気持ちよく納得してもらえる伝え方のコツを、愛を込めてお伝えします。
休む勇気が、あなたとチームの未来を守るのです。
おもしろ関連記事「痛み止めは食後が正解?薬剤師が教える効果的なタイミング」も一緒にご覧ください!
【結論】熱で仕事、休むべき?薬剤師がズバリ答えます!

朝、体温計の数字を見て固まってしまったあなたへ。
まず、私たち薬剤師から、一番大切な結論を、はっきりとお伝えします。
「熱が出たら、迷わず仕事を休んでください。それが正解です!」
「でも、仕事が…」「人が足りないのに…」そんな声が聞こえてきそうです。
なぜ、それでも「休むが正解」と断言できるのか?
それには、あなたと、あなたの周りの人たちを守るための、明確で大切な理由があるのです。
迷ったら休むのが正解!その理由とは
- あなた自身のため(最速で治すため)
発熱は、あなたの体がウイルスや細菌と戦っている証拠。
この戦いに勝つために、体は全エネルギーを免疫活動に集中させたいのです。
無理して仕事をすれば、体力は消耗し、免疫力は低下。
結果的に回復が遅れ、不調が長引くという最悪の悪循環に陥ります。
休むことは、回復への最短ルートなのです。
- チームのため(感染拡大を防ぐため)
あなたの体調不良の原因が感染症だった場合、出社することは周りの同僚に感染を広げてしまうリスクを伴います。
あなたが一人休むことで、部署全体が機能不全に陥るような、より大きな迷惑を防ぐことができるのです。
休むことは、最高の危機管理とも言えます。
- 仕事のため(ミスを防ぎ、質を守るため)
熱があって頭がボーッとする状態で、普段通りの高いパフォーマンスが発揮できるでしょうか?
集中力や判断力が低下し、思わぬミスやトラブルを引き起こしてしまう可能性が高まります。
質の低い仕事で評価を下げるより、万全の体調で復帰する方が、よほどプロフェッショナルです。
体温だけじゃない!休むべき症状チェックリスト
体温計の数字だけでなく、あなたの体が発しているSOSサインにも耳を傾けてください。
たとえ熱が微熱でも、以下の症状が一つでも当てはまる場合は、体を休めることを強く推奨します。
症状 | 体からのSOSサイン |
悪寒・寒気 | 「これから熱が上がりますよ!」という体からの予告。 無理すると悪化しやすい。 |
関節痛・筋肉痛 | 「全身でウイルスと戦っています!」という免疫システムのフル稼働の証。 |
ひどい頭痛 | 脳が休息を求めているサイン。 集中力を要する仕事は危険。 |
めまい・ふらつき | 無理して動くと転倒などの事故につながる可能性があり、非常に危険。 |
咳・のどの痛み | 周囲に感染を広げやすい症状の代表格。 接客業や会議がある場合は特に注意。 |
吐き気・下痢 | 胃腸炎の可能性も。 脱水症状になりやすく、長時間の勤務は困難。 |
Q1.「何度から休むべき?」体温の判断基準、教えます

「休むべきなのはわかったけど、具体的に何度から休んでいいの?」という疑問にお答えします。
一般的な目安は「37.5℃」。でも平熱が低い人は…?
多くの企業や学校で一つの目安とされているのが「37.5℃」というラインです。
これは、感染症法において、保健所が調査を行う「発熱」の基準の一つとしても用いられているため、社会的なコンセンサスが得やすい数字と言えます。
(参照:感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 第12条第1項の規定に基づく届出の基準について – 厚生労働省)
しかし、これはあくまで一般的な目安。
大切なのは、あなた自身の「平熱」です。
例えば、平熱が35℃台の人が37.0℃の熱を出した場合、その体感的なつらさは、平熱36.5℃の人が38.0℃の熱を出すのと同じくらいかもしれません。
「平熱より1℃以上高い」というのも、あなただけのパーソナルな判断基準として有効です。
数字よりも「だるさ」「悪寒」など、あなたの感覚が一番大事!
最終的に、一番信頼すべきなのは、体温計の無機質な数字ではなく、あなた自身の「つらい」という感覚です。
体温計は「体の異常なだるさ」や「頭が割れるような痛み」を測ることはできません。
「これくらいの熱なら大丈夫」と自分に言い聞かせるのではなく、「こんなにつらい状態で、本当に良い仕事ができるだろうか?」と問いかけてみてください。
答えが「ノー」なら、それが休むべきサインです。
Q2.「どう連絡すれば…」職場への伝え方、完璧マニュアル

休むと決めたら、次なるハードルは「職場への連絡」。
罪悪感なく、かつ誠意が伝わる連絡の仕方をマスターしましょう。
電話?メール?最適な連絡手段とタイミング
- 連絡手段
基本的には、会社のルールに従うのが一番です。
特に決まりがない場合は、始業時間の15分~1時間前に直属の上司へ電話で連絡するのが最も確実で丁寧な方法です。
上司が不在の場合は、電話に出てくれた方に伝言をお願いし、その後メールやチャットで補足の連絡を入れておくと、より丁寧な印象になります。
- タイミング
「できるだけ早く」が鉄則です。
あなたの欠勤によって、その日の人員配置や業務の段取りが変わる可能性があるため、上司が1日のスケジュールを考える前に連絡を入れるのが理想的です。
【例文あり】上司に響く「魔法の伝え方」3つのポイント
休みの連絡で大切なのは、「申し訳ない」という気持ちを伝えすぎることではなく、「事実」と「今後の見通し」を簡潔に伝えることです。
- 客観的な事実を伝える
「昨晩から熱があり、今朝検温したところ38.2℃ありました」のように、具体的な数字を伝えると、主観的な「つらい」よりも説得力が増します。
- 業務への配慮を示す
「急な連絡で申し訳ありません。本日の〇〇の件ですが、△△さんにメールで連携しております」のように、最低限の引継ぎ事項や配慮を伝えると、相手も安心します。
- 誠実な姿勢を見せる
「ご迷惑をおかけしますが、本日は休ませていただけますでしょうか」と、一方的な決定ではなく、許可を求める形で伝えると、より丁寧な印象になります。
【例文:電話の場合】
「おはようございます。〇〇です。朝から失礼いたします。
実は、昨晩から熱がありまして、今朝測ったところ38.2℃ありました。
大変申し訳ないのですが、本日はお休みをいただくことは可能でしょうか。
本日対応予定だった〇〇の件は、△△さんにメールで詳細を送っております。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。」
【例文:メールの場合】
件名:勤怠連絡(名前)
〇〇部長
おはようございます。〇〇です。
昨晩から発熱し、今朝検温したところ38.2℃の熱がありました。
大変申し訳ありませんが、本日〇月〇日は、体調不良のためお休みさせていただきたく、ご連絡いたしました。
急ぎの要件は携帯にご連絡いただければ可能な範囲で対応いたしますが、本日対応予定だった〇〇の件は、△△さんにメールで詳細を共有済みです。
皆様にはご迷惑をおかけして大変申し訳ありません。
何卒よろしくお願い申し上げます。
署名
「病院に行きます」の一言が、あなたを守る盾になる
連絡の際に、「この後、病院を受診する予定です」という一言を付け加えるのは非常に有効です。
これは、「自己判断ではなく、専門家の診断を仰ぐ」という真摯な姿勢を示すことになり、上司も「それなら仕方ないな」と納得しやすくなります。
また、万が一、インフルエンザなどの診断が出た場合、その後の出勤停止期間なども明確になるため、職場にとっても有益な情報となります。
Q3.「休んでいる間、どうすれば…」1日でも早く治すための最高の過ごし方

無事に休めることになったら、罪悪感は一旦忘れて、回復に全集中しましょう!
睡眠こそが最強の薬!眠れない時の対処法
人間の免疫細胞は、睡眠中に最も活発に働きます。
とにかく体を横にして、眠れるだけ眠るのが一番の治療です。
もし、咳や体の痛みで眠れない場合は、部屋を暗くして、スマホやテレビは見ずに、ただ目を閉じているだけでも体は休まります。
食欲がなくてもOK!水分と栄養を摂る天才的な方法
発熱時は、汗で大量の水分が失われます。
脱水は回復を遅らせる最大の敵。食欲がなくても、水分補給だけは意識的に行いましょう。
おすすめの水分・栄養補給 | ポイント |
経口補水液・スポーツドリンク | 水分と同時に失われがちな電解質(ミネラル)も補給できる。 最強の味方。 |
おかゆ・うどん | 消化が良く、炭水化物でエネルギー補給もできる。 温かいものは体を温める効果も。 |
ゼリー飲料・プリン・アイス | 喉が痛くて固形物がつらい時に。 手軽に糖分と水分が摂れる。 |
具沢山のスープ・味噌汁 | ビタミンやミネラル、タンパク質が溶け込んでいる。 塩分補給にもなる。 |
市販薬を選ぶ時の注意点【薬剤師からのワンポイントアドバイス】
つらい症状を和らげるために市販薬を使うのは有効ですが、いくつか注意点があります。
- 総合感冒薬の成分に注意
複数の症状に効く総合感冒薬には、眠気を誘う成分だけでなく、眠気を覚ますカフェインが含まれていることがあります。
「とにかく寝たい」時は、カフェイン無配合のものを選ぶか、症状に合った単独の成分の薬(咳なら咳止め、など)を選びましょう。
- 解熱鎮痛剤の使いどころ
熱は体の防御反応でもあるため、むやみに下げすぎるのは考えもの。
38.0℃以上あってぐったりして眠れない、水分が摂れない、というような場合に、用法・用量を守って使いましょう。
- 迷ったら薬剤師に相談
薬の飲み合わせや、どの薬を選べばいいか分からない時は、ドラッグストアの薬剤師や、かかりつけ薬局に電話で相談してください。
Q4.「復帰のタイミングは?」職場に迷惑をかけない復帰の作法

回復してくると気になるのが、いつから仕事に戻るか。
焦りは禁物です。
熱が下がっても、もう1日は様子を見て
熱が下がった直後は、体力を消耗しきっており、免疫力も万全ではありません。
ここで無理をすると、ぶり返してしまったり、別の病気をもらってしまったりする可能性があります。
インフルエンザの場合、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」が出席停止期間と定められています。
これにならい、解熱後も丸1日は自宅で安静に過ごすのが、あなた自身と職場のためにも理想的です。
(参照:学校において予防すべき感染症の解説 – 学校保健ポータルサイト)
復帰初日にやるべきこと、やってはいけないこと
やるべきこと
- 感謝を伝える
まずは「昨日はご迷惑をおかけしました。
ありがとうございました」と、休ませてくれたことへの感謝を伝えましょう。
- 無理のないペースで
休み明けは、いきなりトップスピードで走ろうとせず、溜まったメールのチェックや簡単な作業から慣らしていきましょう。
やってはいけないこと
- 過剰な謝罪
必要以上に謝り続けると、かえって周りが気を使ってしまいます。
感謝の言葉で十分です。 - 無理な残業
「休んだ分を取り戻そう」と焦って残業するのはNG。
病み上がりの体に鞭を打つことになり、再発のリスクを高めます。
まとめ 上手に休んで、最高のコンディションで復活しよう!

熱が出た時に仕事を休むのは、決して甘えや怠慢ではありません。
それは、自分自身の体を守り、職場の仲間を守り、仕事の質を守るための、社会人として非常に重要な「責任ある決断」です。
この記事で紹介した休む基準や伝え方、過ごし方を参考に、罪悪感なく、堂々と体を休めてください。
そして、しっかりと回復した最高のコンディションで職場に復帰すること。
それが、あなたの誠意を伝える何よりの方法です。
上手に休むスキルを身につけて、これからも長く健康に活躍し続けていきましょう。