【便秘薬一覧|処方薬から市販薬まで全解説!効く時間も】

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【便秘薬一覧|処方薬から市販薬まで全解説!効く時間も】

便秘で受診したら薬が出たけど、

「この薬、私に合ってるのかな?」

「飲んでどれくらいで効くんだろう?」

と不安になること、ありますよね。

この記事は、そんな皆さんのための便秘薬の完全ガイドです。

調剤薬局の薬剤師が、病院でもらう「処方薬」はもちろん、「市販薬」「漢方薬」「坐薬」まで、便秘薬を一覧にまとめ、“ぜんぶ”解説します!

「効き始める時間」や「医師がどう使い分けているか」も丸わかり。

あなたの疑問を解消し、お腹も心もスッキリした毎日を取り戻すお手伝いをします!


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目次

【保存版】効く時間つき!医療用・市販薬「便秘薬一覧マップ」

「とにかく、どんな薬があるのか一覧で見たい!」

そんなあなたのために、まずはこの記事の“全体像”がわかる一覧マップ(早見表)ドンッ!とご紹介します。

便秘薬は、その「働き(作用)」によって、大きくいくつかのグループに分けられます。

まずはこの表で、全体像を掴んじゃいましょう!

働き(分類)どんな薬?主な処方薬(成分名・商品名例)主な市販薬(成分・商品名例)効くまでの時間(目安)
刺激性腸を直接動かすピコスルファート(ラキソベロン®︎)
センノシド(プルゼニド®︎)
ビサコジル(内服薬は稀、坐薬は下記)
ビサコジル(コーラック®︎など)
センナ・センノシド(アローゼン®︎顆粒の類似品、新ウィズワンα®︎など)
約6~12時間
浸透圧性 (塩類・機械性)便に水分を集める<塩類下剤>酸化マグネシウム(マグミット®︎、カマ®︎)
<浸透圧性下剤(マクロゴール)> マクロゴール4000(モビコール®︎)
酸化マグネシウム(3Aマグネシア®︎、酸化マグネシウムE便秘薬など)約6~12時間
(※モビコールは用量や飲み方により数日かかる場合もあり)
膨張性(機械性)便のカサを増やすポリカルボフィルCa(コロネル®︎、ポリフル®︎)プランタゴ・オバタ種皮(新ウィズワン®︎、サトラックス®︎など)約24~72時間
浸潤性(機械性)便を滑りやすくジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS) (ベンコール®︎ ※単剤処方は稀)DSS(コーラックⅡ®︎・Ⅲ®︎、オイルデル®︎などに配合)約24~72時間
上皮機能変容薬腸の水分分泌UPルビプロストン(アミティーザ®︎
リナクロチド(リンゼス®︎)
エロビキシバット(グーフィス®︎)
(市販薬なし)約24時間~
漢方薬体質から改善大黄甘草湯(ツムラ18番など)
麻子仁丸(ツムラ126番など)
同名の漢方薬(JPS漢方、クラシエ、コタローなど)薬・体質による
坐薬・浣腸 (直腸刺激性)直腸を直接刺激グリセリン浣腸(各種メーカー)
炭酸水素Na坐薬(新レシカルボン®︎坐剤)
ビサコジル坐薬(テレミンソフト®︎坐薬)
グリセリン浣腸(イチジク浣腸®︎など)
炭酸水素Na坐薬(新レシカルボン®︎坐剤)
約10分~1時間

※効くまでの時間はあくまで目安であり、個人差や飲む量によって異なります。

どうですか?「便秘薬」と一口に言っても、こんなにたくさんの仲間たちがいるんです!

でも、なぜこんなに種類があるんでしょう?

それは、あなたの「便秘のタイプ」によって、使うべき薬が違うからなんです。

その薬、本当に合ってる?便秘の「3大タイプ」を知ろう

「薬を飲んでも効かない…」という時、もしかしたらあなたの便秘タイプと薬の“相性”が合っていないのかもしれません。

便秘は大きく3つのタイプに分けられます。

まずは、あなたがどのタイプに近いか、ドキドキのセルフチェックをしてみましょう!

① 腸が「だらーん」 弛緩性(しかんせい)便秘

これは、腸の「ぜん動運動(便を押し出す動き)」そのものが弱くなってしまったタイプ

お腹が張って苦しいのに、便意があまり強くない…力まないと出ない…という方はこのタイプかも。

運動不足や、加齢による筋力低下無理なダイエットによる食物繊維不足などが原因で起こりやすい、いわば「腸のパワー不足」状態です。

② 腸が「キューッ」 痙攣性(けいれんせい)便秘

こちらは①とは逆に、腸が緊張しすぎて「キューッ」と痙攣(けいれん)してしまっているタイプ

ストレスや環境の変化が引き金になることが多く、過敏性腸症候群(IBS)の方にも見られます。

特徴は、ウサギのフンのようなコロコロした便が出たり、腹痛を伴ったり便秘と下痢を交互に繰り返したりすること。

腸が「ピリピリ」と敏感になっている状態です。

③ 出口で「ガマン」 直腸性(ちょくちょうせい)便秘

これは、「便は出口(直腸)まで来ているのに、なぜか出せない!」というタイプ

トイレに行きたい感覚(便意)はあるのに、いざトイレに行ってもスッキリ出ない、残便感が続く…という特徴があります。

忙しくてついトイレを我慢してしまうクセがある方や、排便に必要な筋力が弱っている方に起こりやすい「出口での渋滞」状態です。

さあ、あなたはどのタイプに心当たりがありましたか?

このタイプによって、選ぶべき薬の「働き」が大きく変わってくるんです!

便秘薬の働き別リスト

お待たせしました!

ここからは、先ほどの一覧マップをさらに深掘り!

【便秘薬の一覧】を、薬剤師の視点で「働き(作用)」別に詳しく解説していきます。

あなたの飲んでいる薬がどのグループか、チェックしてみてくださいね。

【グループ1】腸を直接“応援”する「刺激性」の仲間たち

これは、腸の神経を直接刺激して、半ば強制的に「ぜん動運動」を起こさせる、パワフルなグループです!

まさに腸への“喝入れ”役ですね。

☆ どんな働き?
大腸の粘膜を直接刺激し、腸を無理やり動かします。

☆ 仲間たち(成分名)

処方薬:ピコスルファート(ラキソベロン®︎)、センノシド(プルゼニド®︎)、ビサコジル

市販薬:ビサコジル(コーラック®︎、スルーラックS®︎など)、センナ(アローゼン®︎顆粒(処方薬)の類似品)

☆ すごい所
効果がシャープ!飲めば(比較的)確実に出してくれる安心感があります。

☆ 注意点
毎日使い続けるのは要注意!
腸がこの刺激に慣れてしまい(耐性)、だんだん効きにくくなったり、自力で動く力を失ってしまったりすることがあります
また、腸を無理に動かすため、腹痛が起こりやすいのも特徴です。
「ここぞ!」という時のレスキュー(頓用)として使うのが上手な付き合い方です。
特に、「② 痙攣性便秘」の方が使うと、腸がさらに刺激されて腹痛が悪化することがあるので注意が必要です!

【グループ2】便に“水分”を集める「浸透圧性」の仲間たち

腸を直接刺激するのではなく、腸の中の「浸透圧」という力を利用して、便に水分を集めて柔らかくする、お腹に優しいグループです。

クセになりにくいため、現在の便秘治療の主役となっています。大きく2つのタイプに分けられます。

タイプA:塩類下剤(酸化マグネシウム)

☆ どんな働き?
腸の中で水分を吸収しにくい「塩類(マグネシウム)」の力で、腸管内に水分をグイグイ引き寄せます。
カチコチの便を「水分でぷるぷる」にして、出しやすくします。

仲間たち(成分名)

処方薬:酸化マグネシウム(マグミット®︎、カマ®︎)

市販薬:酸化マグネシウム(酸化マグネシウムE便秘薬、3Aマグネシア®︎など)

☆ すごい所
腸を直接刺激しないので、お腹が痛くなりにくく、クセにもなりにくい!
「① 弛緩性」「② 痙攣性」どちらのタイプにも使いやすい、まさに「優等生」です。

☆ 注意点
腎臓の機能が低下している方(特にご高齢の方)は、マグネシウムが体内に溜まりすぎて「高マグネシウム血症」を起こすリスクがあります。
必ず医師・薬剤師に相談してください。

タイプB:浸透圧性下剤(マクロゴール)

☆ どんな働き?
「マクロゴール」という成分が、飲んだ水分をそのまま腸まで“抱え込んで”移動します。
その結果、腸内の水分量が増え、便が柔らかくなり、便のカサも増して排便を促します。

☆ 仲間たち(成分名)

処方薬:マクロゴール4000(モビコール®︎)

☆ すごい所
小児の便秘治療の第一選択薬として大活躍しています!
成分が体内にほとんど吸収されないため、酸化マグネシウムで心配される「高マグネシウム血症」のような電解質の異常を起こすリスクが極めて低いのが最大の特徴です。
長期間、安全に使いやすいお薬です。

☆ 注意点
水に溶かして飲むタイプのお薬です。
効果発現は穏やかで、適切な量を見つけるまで数日かかることがあります

【グループ3】便を“育てる”「膨張性(機械性)」の仲間たち

これは、食物繊維の力で便そのものを“育てる”イメージの薬です。

☆ どんな働き?
腸の中で水分を吸収して、風船のように大きく膨らみます。
その結果、便の“カサ”が増し、その重みで腸が自然に動き出すのをサポートします。

☆ 仲間たち(成分名)

処方薬:ポリカルボフィルカルシウム(コロネル®︎、ポリフル®︎ ※これはIBS(過敏性腸症候群)にも使われます)

市販薬:プランタゴ・オバタ種皮(新ウィズワン®︎、ファイブミニ®︎ドリンクなどにも近い成分)

☆ すごい所
作用がとっても穏やかで、自然に近いお通じを目指せます。

☆ 注意点
たっぷりの水(コップ1杯以上)と一緒に飲むことが絶対条件!
水が少ないと、薬が腸の中でうまく膨らまず、かえって詰まってしまう危険性があります。
効果が出るまで1~3日と時間がかかるので、気長に続ける必要があります。

【グループ4】便の“すべり”を良くする「浸潤性」の仲間たち

便がカチコチで、なかなか水分を吸ってくれない…、そんな時に活躍するのがこのグループ。

どんな働き?
便の表面張力(水を弾く力)を低下
させます。
イメージは「食器用洗剤」!
カチコチの便に水分や脂肪分が“染み込みやすく”なり、便が柔らかく、滑りやすくなります。

☆ 仲間たち(成分名)

処方薬:ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)(ベンコール®︎ ※単剤処方は稀)

市販薬:ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)(コーラックⅡ®︎・Ⅲ®︎、オイルデル®︎などに配合)

☆ すごい所
単独で使われることは少なく、市販薬では「① 刺激性」のビサコジルなどと組み合わされていることが多いです(例:コーラックⅡ®︎など)。
刺激性薬のサポート役として、便の“すべり”を良くしてくれます。

☆ 注意点
効果はかなりマイルドです。
これ単体での強い効果は期待しにくいです。

【グループ5】腸の“水分分泌”を促す「上皮機能変容薬」の仲間たち

ここ数年で登場した、便秘薬界の「ニューウェーブ」たちです!

これらは全て処方薬のみとなります。

☆ どんな働き?
小腸や大腸の表面にある「上皮細胞」に働きかけ、腸管内への“水分分泌”を強制的に増やします。
腸の「うるおいスイッチ」をONにするイメージです。
これにより、便が柔らかくなります。

☆ 仲間たち(成分名)

処方薬:ルビプロストン(アミティーザ®︎)、リナクロチド(リンゼス®︎)、エロビキシバット(グーフィス®︎)

☆ すごい所
従来の薬(酸化マグネシウムや刺激性)で効果が不十分だった場合の、強力な「次の一手」となります。

☆ 注意点
比較的新しい薬のため、薬価(薬の値段)がやや高めです。
また、それぞれ特徴的な副作用(アミティーザ®︎は吐き気、リンゼス®︎やグーフィス®︎は下痢)が起こることがあります。
医師の診断のもと、適切に使うことが大切です。

(おまけ:この他にも、医療用麻薬(オピオイド)の副作用による便秘に特化した「スインプロイク®︎(ナルデメジン)」のような、非常に専門的な薬もあります。)

【グループ6】体質に寄り添う「漢方薬」の仲間たち

西洋薬が「便を出す」ことにフォーカスするのに対し、漢方薬は「なぜ便秘になっているのか」という“体質”にフォーカスします。

☆ どんな働き?
お腹を温めたり、血流を良くしたり、腸を潤したり…と、あなたの体質に合わせて「便秘になりにくい体」を目指します。

☆ 仲間たち(処方薬・市販薬)

大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう):体力に関わらず使える、便秘漢方の代表格。ただし「大黄」は刺激性なので注意

麻子仁丸(ましにんがん):コロコロ便で、お肌がカサカサしがちな方へ。腸を潤します。

桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう):これは「痙攣性便秘」の方にピッタリの漢方です!腸の過剰な緊張を「芍薬」がほぐしてくれます。

大建中湯(だいけんちゅうとう):お腹が「冷え」て動きが悪く、ガスが溜まって張る…という方に使います。お腹を中からポカポカ温めて、腸の元気を取り戻すのを助けます。

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん):お腹に脂肪が多く、体力がある方向け。

☆ すごい所
便秘だけでなく、冷えや肌荒れなど、他の不調も一緒に改善できる可能性があります。

☆ 注意点
漢方薬=副作用がない、は間違いです。
特に「甘草(かんぞう)」の長期服用による「偽アルドステロン症(むくみ、高血圧など)」や、「大黄(だいおう)」による刺激性には注意が必要です。
必ず薬剤師や登録販売者に相談してください。

【グループ7】最後の砦!「坐薬・浣腸」の仲間たち

「もう何日も出てなくて苦しい!」

「今すぐ出したい!」

そんな緊急事態のSOSに応えてくれるのが、このグループです。

☆ どんな働き?
肛門から直接薬剤を入れ、出口(直腸)を刺激して排便を促します。

☆ 仲間たち(処方薬・市販薬)

グリセリン浣腸(イチジク浣腸®︎など):腸の水分を奪い、さらに直腸を刺激して便意を起こします。

炭酸水素ナトリウム坐薬(新レシカルボン®︎坐剤など):直腸内で炭酸ガス(シュワシュワの泡)を発生させ、腸を優しく刺激します。

☆ すごい所
即効性がバツグン!入れてから数分~30分程度で効果が出ます。

☆ 注意点常用は絶対にNG!
これに頼りすぎると、直腸のセンサーが鈍くなり、自力での排便がますます困難になります。
「③ 直腸性便秘」の方が「出すクセ」をつけるために一時的に使うことはありますが、基本的には「どうしてもの時だけ」と心に決めて使いましょう。

「いつ効くの?」が知りたい!効果発現時間で比べる便秘薬

薬を選ぶとき、いや、飲むときに一番気になるのって、やっぱり「いつ効くの?」ですよね!

薬のタイプによって、効き始めるまでの“スピード感”が全然違います。

飲むタイミングを間違えないためにも、しっかりチェックしましょう!

【速攻】約10分~1時間(浣腸・坐薬など)

  • 該当する薬
    グリセリン浣腸、炭酸水素ナトリウム坐薬
     
  • なぜ速い?
    ターゲットである「直腸」に直接作用するからです。
    脳を経由せず、出口で直接「出なさい!」と命令するので、反応が非常に速いんです。
     
  • 飲む(使う)タイミング
    便意を催してから、トイレに行ける状況で使いましょう。

【夜飲んで朝】約6~12時間(刺激性・塩類など)

  • 該当する薬
    刺激性(ピコスルファート、センノシド、ビサコジルなど)、塩類(酸化マグネシウム)
     
  • なぜこの時間?
    飲んだ薬が、胃を通り、小腸を抜け、目的地の「大腸」にたどり着くまで(または大腸で効果を発揮するまで)に、このくらいの時間がかかるからです。
     
  • 飲む(使う)タイミング
    「就寝前」に飲むことが多いのはこのためです。
    寝ている間に薬がジワジワと効き始め、ちょうど朝起きた頃に自然な便意で目覚める…というのが理想的なサイクルですね。
    酸化マグネシウムは食後に飲む指示が出ることもあります。

【じっくり】約24~72時間(膨張性・上皮機能変容薬など)

  • 該当する薬
    膨張性(カルメロースなど)、浸潤性(DSS)、上皮機能変容薬(アミティーザ®︎、リンゼス®︎など)、マクロゴール(モビコール®︎)
     
  • なぜ時間がかかる?
    これらは腸を無理やり動かすのではなく、「便のコンディション」をじっくり整えるタイプだからです。
    膨張性なら便が水分を吸って膨らむまでに、モビコール®︎やアミティーザ®︎、リンゼス®︎などなら腸の水分分泌が安定するまでに時間がかかります。
     
  • 飲む(使う)タイミング
    医師の指示通り、毎日決まった時間(食後など)に飲み続けることが大切です。
    速効性はないので、「効かない!」と焦らないでくださいね。

プロはこう選ぶ!医師・薬剤師の「便秘薬使い分け」講座

「処方された薬が効かないんだけど…」

「先生って、どうやって薬を選んでるの?」

そんな、一歩踏み込んだギモンにお答えします。

私たち医師や薬剤師が、どういう“ロジック”で薬を選んでいるのか、こっそりお教えしちゃいます!

(※これは一般的な考え方であり、実際の処方は患者さん一人ひとりの状態によります。)

第一選択(ファーストライン)はどの薬?

まず大前提として、薬の前に「生活習慣の改善(食事、運動、水分摂取)」が最優先です!

それを踏まえた上で、薬物治療を始める場合、『慢性便秘症診療ガイドライン 2017』(日本消化器病学会関連研究会)などでは、

機械性下剤(特に「酸化マグネシウム」)が第一選択(ファーストチョイス)として推奨されています。

しかし、高齢者や腎機能障害がある方には最近モビコールが使われることが多いです。

理由は、やはり「クセになりにくい(長期使用しやすい)」ことと「お腹が痛くなりにくい」こと。

まずは体に優しい薬からスタートするのが基本なんです。

「効かない」時に次の一手は?

第一選択の薬(例:酸化マグネシウム)を適切な量まで増やしても効果がイマイチ…という時、次の一手を考えます。

パターンA「弛緩性便秘」が強い場合

酸化マグネシウムで便は柔らかくなったけど、腸が動かなくて「出ない」場合。

→ 「刺激性下剤(センノシドなど)」を「毎日ではなく週に1~2回」など頓用(とんよう:症状がある時だけ使う)で追加します。
→ または、「上皮機能変容薬(アミティーザ®︎やリンゼス®︎など)」に変更・追加して、腸の水分分泌を強力に促します。

パターンB:「痙攣性便秘」が強い場合

酸化マグネシウムは合っていることが多いですが、それでもお腹が痛む場合。

→ 絶対に「刺激性下剤」は使いません!(悪化します)
→ 膨張性下剤(ポリカルボフィルカルシウム)などで便の性状を整えたり、漢方薬(桂枝加芍薬湯など)で腸の緊張をほぐしたり、過敏性腸症候群(IBS)の治療薬を使ったりします。

パターンC:「直腸性便秘」が強い場合

便が柔らかくても「出口で詰まる」場合。

→ 飲み薬だけでは限界があります。 → 「坐薬」や「浣腸」を一時的に使って、「出す感覚」を取り戻す“リハビリ”をすることがあります。

このように、「効かない」と感じたら、自己判断で刺激性下剤を増やすのではなく、「なぜ効かないのか?(タイプが合っていない?量が足りない?)」を医師や薬剤師と一緒に考えることが、スッキリへの一番の近道なんです!

市販薬でセルフケアするときの注意点

「病院に行く時間がない…」という時のセルフケアは大切ですが、3つの“お約束”があります。

1.「刺激性」の連用は避ける!

市販薬は「刺激性」の仲間たち(ビサコジルやセンナ)が主流です。
効き目がシャープなので頼りたくなりますが、毎日使うのは絶対に避けてください
腸がサボり癖を覚えてしまいます。

2.持病がある人は必ず相談を!

特に「腎臓が悪い方」が市販の酸化マグネシウムを使う時や、「腸閉塞の既往がある方」が膨張性下剤を使う時は、リスクが伴います。
必ず薬剤師に声をかけてください。

3.「おかしいな」と思ったら即・受診!

市販薬を1週間ほど使っても全く改善しない、または、吐き気や「今までにない激しい腹痛」を伴う場合は、便秘の裏に別の病気(腸閉塞など)が隠れているかもしれません。
すぐに医療機関を受診してください。

「この処方薬、市販で代わりある?」気になる疑問を解決!

「病院でもらった薬がすごく効いた!同じものが市販で欲しい」

「受診したいけど、とりあえず市販で同等のものはない?」

これも、薬局で本当によく聞かれる質問です!お答えしましょう。

処方薬(成分名・商品名例)市販薬で「似た成分」はある?注意点
酸化マグネシウム (マグミット®︎など)あります!
(例:酸化マグネシウムE便秘薬®︎、3Aマグネシア®︎)
処方薬と市販薬で1錠あたりの含有量が違うことがあります。
腎臓病の方は薬剤師に相談を。
マクロゴール (モビコール®︎)ありません 医師の診断と用量調節が必要です。
ピコスルファート (ラキソベロン®︎)あります!
(例:ピコラックス®︎液、ビューラックソフト®︎)
処方薬は「液剤」がメインですが、市販薬は「錠剤」もあります。
同じ成分です。
センノシド (プルゼニド®︎)あります!
(センナ・センノシドとして) (例:コーラックハーブ®︎、アローゼン®︎顆粒(処方薬)の市販類似品)
「センナ」として漢方的に売られているものも、作用は「刺激性」です。
ビサコジル (テレミンソフト®︎坐薬など)あります!(飲み薬として)
(例:コーラック®︎シリーズ)
市販薬の主役級成分です。
処方薬では坐薬がメインですが、市販薬では飲み薬がメインです。
ポリカルボフィルCa (コロネル®︎、ポリフル®︎)ありません!これらは医師の診断が必要な「医療用医薬品」のみです。
上皮機能変容薬 (アミティーザ®︎、リンゼス®︎、グーフィス®︎)ありません!これらは医師の診断が必要な「医療用医薬品」のみです。
漢方薬 (大黄甘草湯、麻子仁丸、桂枝加芍薬湯、大建中湯など)あります!処方薬と同じ名前・同じ処方(満量処方など)のものが市販されています。
体質に合うか薬剤師に相談を。
坐薬・浣腸 (新レシカルボン®︎、グリセリン浣腸)あります!
(例:イチジク浣腸®︎、新レシカルボン®︎坐剤)
処方薬と市販薬で中身が同じものが多いです。
連用は避けましょう。

このように、「全く同じ」ではなくても、「似た成分」の市販薬は結構あります。

ただし、処方薬は「医師があなたの体質や便秘タイプを診断した上で」選んでいます。

市販薬を自己判断で選ぶ際は、ぜひ薬局の薬剤師や登録販売者に「今、こういう症状で悩んでいて…」と声をかけてくださいね。

まとめ 薬の一覧を知ることは、賢く治療する第一歩

ここまで、本当にたくさんの便秘薬を一覧でご紹介してきました。

「こんなに種類があったんだ!」と驚かれたかもしれませんね。

大切なのは、「どの薬が最強か」ではなく、「今のあなたの便秘タイプに、どの薬が一番寄り添ってくれるか」を知ることです。

  • 腸が「だらーン」なら、刺激性や塩類
  • 腸が「キューッ」なら、塩類や膨張性(刺激性はNG!)
  • 出口で「ガマン」なら、坐薬や浣腸も選択肢に

そして、薬はあくまで「サポート役」です。

頼りすぎず、食事や運動など、生活習慣の見直しも絶対に忘れないでください。

この記事で「薬の一覧」を知ったことが、あなたの賢い治療の第一歩となれば、私たち薬剤師としてこれほど嬉しいことはありません。

「処方薬が効かない」「市販薬で迷っている」…そんな時は、一人で悩まず、ぜひ、かかりつけの医師や、あなたの街の調剤薬局の薬剤師に気軽に相談してくださいね!