
楽しい旅行の帰り道…のはずが、飛行機から降りても耳の詰まりやキーンという痛みが続く。
「あれ、おかしいな…」と思って耳抜きを試しても、全然治らない。
そんな経験、本当につらくて不安になりますよね。
周りの人は平気そうなのに、自分だけ聞こえにくいし、圧迫感がずっと残っている…。
「もしかして、このまま治らなかったらどうしよう!」なんて心配で頭がいっぱいになっていませんか?
でも、大丈夫です!
その不快な症状には、ちゃんとした原因と正しい対処法があります。
この記事では、なぜあなたの耳がそんな状態になってしまうのか?
今すぐできる緊急対処法、そして「次のフライトは絶対に繰り返さない!」と心に誓うあなたのための完璧な予防策まで、詳しく解説します。
もう飛行機は怖くありません!
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これって何?飛行機を降りても耳が変…「航空性中耳炎」かも?

飛行機に乗った後、「耳の詰まった感じが抜けない」「キーンという痛みが続く」…。
そのつらい症状、もしかしたら「航空性中耳炎(こうくうせいちゅうじえん)」かもしれません。
病名を聞くと少し怖く感じてしまうかもしれませんが、原因と体の仕組みを知れば、正しい対処法や予防法がぐっと分かりやすくなります。
なぜ飛行機で耳が痛くなる?気圧の変化と「耳管」の働き

私たちの耳の奥には「中耳(ちゅうじ)」という小さな部屋があり、この部屋と鼻の奥は「耳管(じかん)」という細い管でつながっています。
この耳管は、耳の中(中耳)と外の気圧を同じに保つ、「気圧調整バルブ」のような非常に大切な役割を担っています。
飛行機が上昇すると、機内の気圧はどんどん下がります。
すると、耳の中の空気が膨張し、耳管を通って自然に鼻から抜けていくため、問題が起こることは少ないです。
問題は、着陸に向けて飛行機が下降するとき。
今度は逆に、機内の気圧がどんどん上がっていきます。
耳の中はまだ気圧が低いままなので、外の強い圧力に押されて鼓膜が内側にグーッと引っ張られてしまうのです。
この気圧差を解消するために、意図的に耳管を開いて耳の中に空気を送り込む作業、それこそが「耳抜き」です。
耳抜きができない!「航空性中耳炎」を引き起こす原因とは?
通常であれば「耳抜き」で解消できるはずの耳の違和感。
しかし、これがうまくいかないことがあります。
原因として最も多いのが、風邪やアレルギー性鼻炎などによる鼻や喉の炎症です。
炎症によって耳管の入り口が腫れてしまうと、通り道が狭くなり、うまく開かなくなってしまいます。
耳抜きができないまま飛行機が下降を続けると、耳の中と外の気圧の差はどんどん大きくなり、
・鼓膜が強く引っ張られて激しく痛む
・中耳に炎症が起きる
・中耳に液体(滲出液)が溜まってしまう
といった症状を引き起こします。これが「航空性中耳炎」の正体です。
飛行機を降りても治らない…耳の不調は炎症のサイン
「何度も耳抜きを試しているのに、一向に良くならない…」
それは、すでに中耳で炎症が起きたり、液体が溜まったりしているサインかもしれません。
気圧の差が解消されても、この炎症や液体が残っているため、耳の詰まりや痛みが続いてしまうのです。
【緊急】耳抜きが治らない時に!まず試したいセルフケア5選

「原因はわかったけど、今このつらさを何とかしたい!」
そんなあなたのために、地上で安全にできる緊急セルフケアをご紹介します。
ポイントは「焦らず、優しく」です。
もう一度トライ!地上でやる「優しい耳抜き」のコツ
飛行中にやっていたように、力任せに「フンッ!」と耳抜きをするのは絶対にやめましょう。
地上では、もっと優しく試すのがコツです。
1.まず、飴をなめたり、飲み物を飲んだりして、唾液で喉を潤します。
2.唾を「ゴクン」と飲み込むのと同じタイミングで、優しく鼻をつまんでみましょう。
3.顎を左右に動かしたり、口を大きく開けたりしながら、何度か試してみてください。
力任せは禁物!あくまでも自然に耳管が開くのを手助けするイメージです。
あくび・ツバを飲み込む・アメをなめる!基本の合わせワザ
耳管は、顎を動かしたり、喉の奥の筋肉を使ったりすることで開きやすくなります。
・あくびをする
これでもか!というくらい大きなあくびをしてみましょう。
顎の関節が大きく動くことで、耳管が開きやすくなります。
・ツバを飲み込む
意識的にツバを飲み込む回数を増やしましょう。水を少しずつ飲むのも非常に効果的です。
・アメをなめる・ガムを噛む
唾液の分泌を促し、自然と飲み込む動作が増えるため、耳抜きに最適なアクションです。
これらの動作は、どれか一つというより、組み合わせて何度も行うことで効果が高まります。
じんわ~り効く!蒸しタオルで耳を温めて血行促進
耳の周りの血行が悪くなっていると、筋肉もこわばり、耳管がさらに開きにくくなります。そんな時は、蒸しタオルでじんわ~り温めてあげるのがおすすめです。
1.清潔なタオルを水で濡らし、軽く絞ります。
2.電子レンジで30秒~1分ほど加熱し、心地よい温かさにします(やけどに注意!)。
3.その蒸しタオルを、耳全体を覆うように当てて、5~10分ほどリラックスしましょう。
血行が良くなることで、耳周りの筋肉の緊張がほぐれ、耳管の機能回復を助けてくれます。
ホッとする時間を持つことで、不安な気持ちも和らぎますよ。
ガムを噛んで顎(あご)をダイナミックに動かそう
アメをなめるのが「静」の対策なら、ガムを噛むのは「動」の対策です。
ガムを噛むという咀嚼(そしゃく)運動は、顎の筋肉をダイナミックに動かします。
これがポンプのような役割を果たし、閉じてしまった耳管を開くのを力強くサポートしてくれます。
左右の奥歯で、しっかり意識的に噛むのがポイントです。
焦りは禁物!絶対にやってはいけないNG行動とは?
早く治したい一心で、ついやってしまいがちなNG行動があります。
良かれと思った行動が、かえって症状を悪化させてしまうこともあるので、絶対にやめましょう。
・力任せに、何度も強く鼻をかむ
→ 鼻の奥にいる細菌やウイルスが、開いた耳管を通って中耳に入り込み、急性の化膿性中耳炎を引き起こす危険性があります。
・息が苦しくなるほど、力んで耳抜きを繰り返す
→ 強すぎる圧力は、鼓膜や中耳を傷つけてしまう可能性があります。
・綿棒や耳かきで、耳の奥をグリグリいじる
→ 外耳道を傷つけるだけで、中耳のトラブルには全く効果がありません。
焦る気持ちは痛いほどわかりますが、まずは落ち着いて、優しいケアを心がけてください。
これって病院行くべき?放置が危険なサインを見逃さないで!

セルフケアを試しても改善しない場合、「いつまで様子を見ればいいの?」「病院に行くべき?」と不安になりますよね。
ここでは、専門医の診察を受けるべき危険なサインについて、ハッキリとお伝えします。
こんな症状が24時間以上続いたら耳鼻咽喉科へ
まず一つの目安として、「飛行機を降りてから24時間以上」たっても、耳の詰まりや軽い痛みが改善しない、または悪化しているように感じる場合は、迷わず耳鼻咽喉科を受診しましょう。
航空性中耳炎は、自然に治ることも多いですが、症状が長引いている場合は、中耳に溜まった液体が抜けにくくなっていたり、炎症が強くなっていたりする可能性があります。
「強い痛み」「めまい」「聞こえ方がおかしい」は要注意!
以下の表にあるような症状が一つでも現れた場合は、24時間待つ必要はありません。
できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。
特に注意すべき危険なサイン | 考えられる状態 |
我慢できないほどの強い痛み、ズキズキ・キリキリする痛み | 中耳の炎症がかなり強い可能性があります。 |
自分がぐるぐる回るような「回転性めまい」や、体がフワフワする感じ | 気圧の変化で、バランスを司る内耳(ないじ)まで影響が出ているかもしれません。 |
音がこもるだけでなく、明らかに聞こえにくい(難聴)、ひどい耳鳴り | 中耳に液体が溜まっているか、内耳に障害が起きている可能性があります。 |
耳から液体(膿や血液など)が出てくる(耳だれ) | 鼓膜が破れてしまっている(鼓膜穿孔)か、重い中耳炎のサインです。 |
これらの症状を放置すると、治療が長引いたり、後遺症が残ってしまったりするリスクもゼロではありません。
自分の判断で「大丈夫だろう」と過信せず、専門家の力を借りることが、結果的に一番の早期解決につながります。
次のフライトは絶対快適!完璧に防ぐための【神・予防策】

「もう二度とあんなつらい思いはしたくない!」
その強い気持ちがあれば、大丈夫。次のフライトを天国にするための、完璧な予防策を伝授します!
風邪やアレルギー性鼻炎の人が絶対にやるべきこと
航空性中耳炎の最大のリスクは、鼻や喉のコンディションが悪いことです。
風邪をひいている、花粉症やアレルギー性鼻炎の症状が出ている…そんな時に飛行機に乗るのは、いわばハンデを背負って戦いに挑むようなもの。
フライトの予定が決まっているなら、搭乗前に耳鼻咽喉科を受診し、「近々飛行機に乗るのですが…」と相談してください。
鼻の炎症を抑える点鼻薬や、アレルギーを抑える内服薬を処方してもらうだけで、当日のコンディションが劇的に変わります。
これは、あなたが搭乗前にできる最も効果的な予防策の一つです。
最強の耳抜き「バルサルバ法」の正しいやり方
ただツバを飲み込むだけでは効果が薄い…という方は、少しコツのいる「バルサルバ法」をマスターしましょう。
これはダイバーなども使う、基本にして最強の耳抜き法です。
1.まず、口をしっかりと閉じます。
2.指で鼻を”優しく”つまみます。(小鼻をしっかり塞ぐイメージ)
3.口を閉じたまま、鼻をかむように、ゆっくりと息を送り込みます。
4.耳の中で「ポコッ」「カサッ」という音がしたら、空気が通ったサイン。成功です!
【超重要ポイント】
☆ 力みすぎない!
顔が真っ赤になるほど力むのはNG。鼓膜を傷める原因になります。
☆ タイミングが命!
耳が痛くなってからでは手遅れです。
飛行機の降下が始まったら、痛みや違和感を覚える前に、2~3分おきにこまめに行うのが成功の秘訣です。
CAさんも実践!離着陸30分前からの必勝パターン
空のプロである客室乗務員(CA)の方々も、日々のフライトで耳のケアを徹底しています。
私たちも真似できる必勝パターンを覚えておきましょう。
離着陸時は、絶対に寝ない!
眠っていると、唾液を飲み込む回数が激減するため、耳管が閉じたままになり、気づいた時には激痛…という最悪の事態を招きます。
アラームをかけるなどして、必ず起きていましょう。
アメやガムを口に入れておく
降下が始まったアナウンスがあったら、すぐにアメをなめたり、ガムを噛み始めたりしましょう。
常に唾液を分泌させ、飲み込む準備をしておくことが大切です。
こまめに水分補給
喉が乾いていると唾液も出にくくなります。
手元に水やお茶を用意し、少しずつ口に含んで飲み込みましょう。
飛行機用耳栓を活用する
薬局や空港の売店で売っている、気圧コントロール機能付きの耳栓も有効です。
急激な気圧の変化を緩やかにしてくれるので、耳抜きの負担を軽減してくれます。(参考:JAL「飛行機での耳の痛みと対策」)
薬局が教える「耳のトラブル」お守り薬との上手な付き合い方

最後に、私たち薬のプロから、あなたのフライトを快適にするための“お守り薬”についてお話しします。
正しく使えば、これほど心強い味方はありません。
鼻の通りを良くする「点鼻薬」が救世主になるワケ
「耳のトラブルなのに、なぜ鼻の薬?」と不思議に思いますよね。
耳と鼻をつなぐ「耳管」の入り口は鼻の奥にあるため、鼻の粘膜が腫れていると、耳管の入り口も塞がれてしまい、耳抜きが非常に困難になります。
市販の点鼻薬(血管収縮剤配合タイプ)には、鼻粘膜の腫れ(鼻づまり)をスッと解消してくれる効果があり、耳管の通り道も確保され、空気が出入りしやすくなるのです。
【ベストな使い方】
タイミング → 飛行機が降下を始める30分~1時間前に使用するのが最も効果的です。
☆ 注意点
血管収縮剤タイプの点鼻薬は、即効性はありますが、長期間使いすぎるとかえって鼻づまりを悪化させる(薬剤性鼻炎)ことがあります。
旅行中など、短期的な使用に留め、必ず用法・用量を守ってください。
もしもの時のために持っておきたい痛み止め
残念ながら航空性中耳炎になってしまい、痛みが出てしまった場合は、我慢せずに痛み止め(鎮痛剤)を使いましょう。
航空性中耳炎の痛みは、気圧差による炎症が原因です。
そのため、「イブプロフェン」や「ロキソプロフェンナトリウム水和物」といった抗炎症作用も併せ持つタイプの鎮痛剤がより効果的です。
痛みが苦手な方や、過去にひどい経験がある方は、予防的に搭乗前に服用しておくという方法もありますが、胃への負担なども考慮し、一度薬剤師に相談してくださいね。
まとめ:つらい耳の痛みとサヨナラ!もう飛行機は怖くない!

今回は、飛行機に乗った後、耳抜きをしても治らないという、本当につらい症状の原因と対策について、徹底的に解説しました。
大切なポイントをもう一度おさらいしましょう。
・その症状は「航空性中耳炎」かも。原因は気圧の変化と「耳管」の働き。
・治らない時は、優しくセルフケアを試す。NG行動は絶対に避ける!
・強い痛みやめまい、24時間以上続く不調は、迷わず耳鼻咽喉科へ。
・次回のフライトは、体調管理と事前の対策で完璧に予防できる!
・点鼻薬や痛み止めを“お守り”として上手に活用しよう。
正しい知識と万全の準備があれば、もうあなたはフライト前の憂鬱な気持ちと戦う必要はありません。
この記事が、あなたの不安を「これなら大丈夫!」という自信に変えるきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。
さあ、つらい耳の痛みとサヨナラして、次の空の旅を心から楽しんでください!