ジェネリックはなぜ安い?薬剤師が教える節約術と新ルール

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ジェネリックはなぜ安い?薬剤師が教える節約術と新ルール

「お薬代、なんだか高いな…」

毎月のことだから、そう感じてしまいますよね。

薬局で「ジェネリック医薬品にしますか?」と勧められるけど、正直ちょっと不安…。

ジェネリック医薬品はなぜ安いのか、安すぎて逆に心配になるその気持ち、めちゃくちゃ分かります!

「効果が薄いんじゃないの?」

「安いのには裏があるんじゃ…」

…なんて。

でもご安心ください!

この記事では、安さの“本当の理由”はもちろん、知らないと年間1万円以上も損をしてしまうかもしれないお薬代の「新ルール」まで、こっそり、でも超わかりやすく解説します!

読み終わる頃には、ジェネリックへの不安が自信に変わり、あなたも家計を守る「お薬のプロ」になっているはずです!


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【衝撃の事実】ジェネリックが安い“たった一つ”のシンプルな理由

「ジェネリック医薬品って、なんであんなに安いの?」

「もしかして、何か手抜きをしているんじゃ…」

薬局のカウンターで、本当に多くの方からこの質問をいただきます。

でも、答えは驚くほどシンプル!

それはズバリ、「お薬をゼロから開発するコストが、ほとんどかかっていないから」なんです。

新薬(先発医薬品)は開発費がスーパーカー何台分!?

まず、ピカピカの新薬、いわゆる「先発医薬品」がどうやって生まれるか想像してみてください。

  1. 「この病気に効く成分はないかな?」という発見の旅(候補は数万種類!)
  2. 気の遠くなるような回数の研究と実験
  3. 有効性や安全性を確かめるための「臨床試験(ちりんしょうけん)」
  4. 国の厳しい審査をクリア

この道のりは、なんと短くても10年〜15年、長いものでは20年以上もかかります。

そして、その開発費用は…数百億円から、時には1,000億円以上!

これはもう、高級なスーパーカーが何千台も買えちゃうような、とんでもない金額ですよね。

研究者の方々の給料、最新の実験機材、そして数えきれない失敗のコスト…その全てがお薬の値段に反映されます。

だから、新薬(先発医薬品)はどうしても高価になってしまうのです。

ジェネリックは研究開発費がほぼゼロだから安いんです!

一方、ジェネリック医薬品は、先発医薬品の「特許期間(開発した会社が独占的に販売できる期間)」が終わった後に、別の会社がその技術を使って製造・販売するお薬です。

例えるなら、「ミシュラン三つ星レストランの天才シェフが、長年かけて完成させた秘伝のレシピ」が公開されたようなもの。

他の腕利きのシェフたち(ジェネリックメーカー)は、その完成されたレシピを使って、同じ絶品料理をより安く提供できるのです!

ゼロから成分を探す旅も、気の遠くなる実験も必要ありません。

だから、開発期間は3年〜5年ほどで済み、開発コストも大幅に抑えることができます。

この違い、一目瞭然ですよね!

比較項目先発医薬品(新薬)ジェネリック医薬品(後発医薬品)
開発期間約10年~15年以上約3年~5年
開発費用数百億円以上数千万円程度
お薬の値段高い安い(先発品の2割~5割程度)
コンセプト新しい価値をゼロから創造する冒険家同じ価値をより安く届ける技術者

この「開発コストの圧倒的な差」こそが、ジェネリック医薬品が安く提供できる、たった一つのシンプルな理由なんです。

手抜きどころか、先人たちの偉大な発明のおかげで、私たちは安くて質の良いお薬を使える、というわけですね。

参照元:厚生労働省「後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進について」日本ジェネリック製薬協会「ジェネリック医薬品とは」

「安かろう悪かろう」は昔の話! 効果と安全性が同じって本当?

「値段の秘密はわかったけど、やっぱり一番大事なのは効果でしょ!」

その通りです!ご安心ください。

ジェネリック医薬品は「安いだけ」のお薬ではありません。

「先発医薬品と“同等”である」ことが科学的に証明されています。

国が厳しい試験で「同じ効果・安全性」と認めています!

ジェネリック医薬品が販売されるためには、国の機関(PMDA)による、とーっても厳しい審査をクリアしなければなりません。

その心臓部が「生物学的同等性試験」です。

これは、健康な方にご協力いただき、先発品とジェネリックを飲んだ後の血液を採取して、「体の中での薬の動き方」が同じかどうかを科学的に比較する試験です。

主に、以下の3つの指標が同じ範囲に収まることを証明します。

指標名称これで何がわかる?(分かりやすく言うと)
Cmax最高血中濃度体内に吸収された薬の「濃度のピーク(効き目の強さ)」
Tmax最高血中濃度到達時間薬の濃度がピークになるまでの「時間の速さ(効き始める速さ)」
AUC薬物血中濃度時間曲線下面積薬が体内に吸収された「総量(効果の持続性や全体的な作用)」

これらの指標が、統計学的に「同じ」と見なせる国際基準(80%~125%の範囲)に収まることが絶対条件です。

これは治療効果に影響を与えないごくわずかな差は「同じ」と見なす科学的な考え方で、世界中で採用されています。

主成分も効き目も同じ!安心して使えるワケ

つまり、ジェネリック医薬品は、

  • 有効成分の種類・量
  • 用法・用量(飲むタイミングや回数)
  • 効能・効果

これらがべて先発医薬品と全く同じです。

中身は同じ双子のようなもの。

見た目(薬の形や色)は少し違うかもしれませんが、その能力(効き目)は同じなんです。

<薬剤師からの豆知識>
薬の味や色、形を整える「添加物」は異なる場合がありますが、これは「より飲みやすくするための工夫」であることが多いです。
例えば、「錠剤が小さくなって飲みやすくなった」「苦味がコーティングされて味が良くなった」など、ジェネリックならではの改良が加えられていることもあるんですよ。

【超重要】知らないと損!先発品を選ぶと追加負担「選定療養」とは?

「ジェネリックの良さはわかったけど、私は長年飲み慣れた先発品の方が安心だから、そっちがいいな」

もちろん、そのお気持ちもよく分かります。

しかし!2024年10月から始まった、あなたの自己負担額に直結するとっても重要な新ルールについてお話しなければなりません。

それが「選定療養(せんていりょうよう)」という制度です。

2024年10月スタートの新制度を分かりやすく解説!

これまで、ジェネリック医薬品があるお薬でも、患者さんが「先発品がいいです」と希望した場合、追加の負担はありませんでした。

しかし、2024年10月1日からは、「ジェネリック医薬品を選ばず、あえて先発医薬品(長期収載品)を希望した場合」には、通常の自己負担(3割など)とは別に追加の費用を自己負担していただく、というルールが始まりました。

ジェネリックとの差額の4分の1が自己負担に!?

「えっ、じゃあ一体いくら追加で払うの?」と不安になりますよね。

追加でご負担いただく金額は、「先発医薬品と、最も安いジェネリック医薬品の薬価(薬の公定価格)の差額」の4分の1です。

具体的な例で見てみましょう!

【シミュレーション】3割負担のAさんが、とあるお薬を30日分もらう場合


先発医薬品を選ぶ場合ジェネリックを選ぶ場合
薬価(薬本体の値段)1錠100円 × 30錠 = 3,0001錠40円 × 30錠 = 1,200
薬価の差額3,000円 – 1,200円 = 1,800
選定療養費(追加負担)1,800円 × 1/4 = 4500
通常の自己負担(3割)3,000円 × 0.3 = 9001,200円 × 0.3 = 360
窓口でのお支払い合計900円 + 450円 = 1,350360

いかがでしょうか?

このケースでは、先発医薬品を選んだだけで、月々990円、年間で計算するとなんと11,880円もの差額が生まれてしまうのです。

「今まで通り」が、実はお財布に優しくない時代に

もちろん、お薬を選ぶのは患者さんの自由です。

しかし、この「選定療養」制度が始まったことで、「特に理由はないけど、なんとなく今まで通り先発品で…」という選択が、知らず知らずのうちにお財布への大きな負担となってしまう時代になりました。

<薬剤師からのよくある質問 Q&A>

Q1. 医師が「先発品を使ってください」と言った場合も追加負担はかかりますか?

A1. いいえ、かかりません。医師が治療上、先発品が不可欠と判断し、処方箋にその旨を記載した場合は「選定療養」の対象外となり、追加負担なしで先発品を使用できます。

Q2. すべての先発品が対象ですか?

A2. いいえ。ジェネリック医薬品が発売されてから一定期間が経過した「長期収載品」が主な対象です。

比較的新しいお薬など、対象外のものもあります。

参照元:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【医療保険制度改革】」

「ジェネリックがいいです」と伝えるのが恥ずかしい?大丈夫!伝え方ガイド

「制度のことはわかった!でも、いざ薬局で『ジェネリックに変えてください』って言うのは、なんだか言い出しにくい…」

そのように感じていらっしゃる方、実は少なくありません。

でも、全く気にする必要はありませんよ!

私たち薬剤師は、患者さんに合ったお薬を提案するのが仕事です。

ジェネリック医薬品に関するご相談は、いつでも大歓迎なんです。

もっと気軽に意思表示できる、簡単な方法をご紹介しますね。

お薬手帳にシールを貼るだけで「ジェネリック希望」の意思表示に!

お持ちの健康保険証やお薬手帳を見てみてください。

「ジェネリック医薬品希望」という意思表示欄や、シールが貼ってありませんか?

ここにチェックを入れたり、シールを貼っておくだけで、毎回口に出して言う必要がないので、とっても簡単です!シールは薬局や役所などでもらえますよ。

薬剤師への魔法の質問「ジェネリックってありますか?」

「希望シールとかよく分からない!」という方は、薬局のカウンターで薬剤師にこう聞いてみてください。

  • 「このお薬、ジェネリックってありますか?」
  • 「ジェネリックに変えると、どのくらい安くなりますか?」
  • 「先生は先発品を出したけど、ジェネリックにしても大丈夫ですよね?」

たったこれだけで大丈夫です!

この質問をきっかけに、私たち薬剤師が、選定療養費のことも含めて丁寧にご説明させていただきます。

説明を聞いて、あなたが納得した上で、どちらのお薬にするか一緒に決めていきましょう。

まとめ もう迷わない!ジェネリックは家計を守るスーパーヒーロー!

さて、ここまでジェネリック医薬品はなぜ安いのか、その理由から最新の制度までお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?

今回のポイントをまとめると…

  • ジェネリックが安いのは、開発コストがほとんどかかっていないから。
  • 国が厳しくチェックしており、効果も安全性も先発品と同じで安心!
  • 新ルール「選定療養」により、先発品を選ぶと追加の自己負担が発生することも。
  • 希望する時は、シールや簡単な質問で気軽に薬剤師に伝えられる!

ジェネリック医薬品は、もはや「安かろう悪かろう」ではなく、「安くて、安心で、家計を助けてくれる」頼もしい存在です。

この記事が、あなたの不安を解消し、賢くお薬を選ぶきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。

もし少しでも分からないこと、不安なことがあれば、いつでもお近くの薬局で、私たち薬剤師に気軽に声をかけてくださいね!