
ドキドキしながら開封した健康診断の結果、
専門用語や数字の羅列に「???」となっていませんか?
「C判定ってどうなの?」
「この数値、放置して大丈夫…?」
そんな不安でいっぱいのあなたへ。
この記事は、難しい言葉を一切使わずに、まるで自分の体の通信簿を読み解くように、健康診断の結果の見方を徹底解説します!
薬剤師の私たちが、あなたの「わからない」を「なるほど!」に変え、
不安を「よし、やってみよう!」という希望に変えるお手伝いをします。
この一枚の紙から、未来の元気な自分を見つけにいきましょう!
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【開封の儀の前に】その結果、未来のあなたからの大切なお手紙です

ポストに届いた一通の封筒。
まるで合格発表を待つ受験生のように、心臓がバクバクしますよね。
その気持ち、痛いほどわかります。
でも、封を切る前に、少しだけ考え方を変えてみませんか?
その結果用紙は、単なる「健康か不健康か」をジャッジする採点表ではありません。
それは、1年後の、5年後の、10年後の未来のあなたから届いた、「大切なお手紙」なんです。
- 良い結果(A判定)なら、それは未来のあなたからの「いつも体を大切にしてくれてありがとう!この調子でよろしくね!」という感謝のメッセージ。
- 少し気になる結果(B判定やC判定)なら、それは「ねぇ、最近ちょっと無理してない?このままだと未来の私が大変になっちゃうよ!今ならまだ間に合うから、少しだけ生活を見直して!」という、愛あるSOSサイン。
そう、これは過去のあなたへの通知表ではなく、未来のあなたを最高に輝かせるための「冒険の地図」であり「攻略本」なのです。
【基本のキ】まずはココだけ押さえて!「A・B・C判定」と「再検査」の本当の意味

たくさんの数字を見る前に、まずチェックすべきは総合判定のアルファベット。
ここが冒険のスタート地点です!
多くの健診機関で使われている判定区分を、わかりやすく解説しますね。
判定 | 意味(人間ドック学会の区分より) | 冒険のコンパス(とるべきアクション) |
A | 異常なし | 【ゴールドランク!】 素晴らしい!今の健康的な生活を続けましょう! |
B | 軽度異常(要経過観察) | 【シルバーランク】 日常生活に問題なし。 でも油断は禁物。 生活習慣を見直す良い機会! |
C | 要再検査・要精密検査 | 【要注意アラート!】 パニックになる必要なし! でも放置は絶対ダメ! 「本当に問題があるか」を確かめるために、必ず医療機関を受診しましょう。 |
D | 要治療 | 【緊急クエスト発生!】 すでに治療が必要な状態です。 すぐに専門医の扉を叩いてください! |
E | 治療中 | 【継続クエスト中】 現在治療中の項目です。 引き続き主治医の指示に従いましょう。 |
(参照:日本人間ドック学会 検査表の見方)
「再検査」や「精密検査」と書かれていると、まるで重病の宣告をされたように感じてしまいますが、決してそうではありません。
これは「今回の検査だけでは白黒つけられないから、もっと詳しく調べてみましょう」という、あくまで次のステップへの案内状。
ここで放置してしまうのが一番もったいない!
勇気を出して、次の一歩を踏み出しましょう。
【血液検査の大冒険】あなたの体を巡る物語!主要キャラクター(項目)紹介

さあ、ここからが本番!
あなたの血液の中にいる、個性豊かなキャラクター(検査項目)たちの声に耳を傾けていきましょう。
彼らが、あなたの体の物語を語ってくれます。
※基準値は検査機関によって多少異なります。
結果の紙に書かれている基準範囲と見比べて確認してくださいね。
肝臓チーム(AST, ALT, γ-GTP) 【沈黙の臓器からの熱いメッセージを解読せよ!】
肝臓は、痛みなどの自覚症状が出にくい「沈黙の臓器」。
だからこそ、彼ら血液中のキャラクターからのメッセージが超重要なんです!
AST、ALT、γ-GTPは、肝臓の細胞がダメージを受けた時に血液中に漏れ出てくる酵素たち。
数値が高いほど、肝臓がSOSを発しているサインです。
キャラクター名 | 役割(ニックネーム) | 基準値の目安 (U/L) | 数値が高いと…?(彼らの叫び) | 考えられる原因・疾患 |
AST (GOT) | 全身の仕事人 | 30以下 | 「肝臓だけじゃなく、心臓や筋肉も悲鳴を上げてるかも!」 | 脂肪肝、アルコール性肝障害、ウイルス性肝炎、激しい運動後など |
ALT (GPT) | 肝臓一筋の専門家 | 30以下 | 「最近、肝臓がめちゃくちゃ疲弊してます…助けて!」 | 脂肪肝、アルコール性肝障害、ウイルス性肝炎など(ASTより肝臓の状態を反映しやすい) |
γ-GTP (ガンマ) | お酒センサー | 50以下 | 「飲み過ぎ注意報、発令中!脂肪も溜まってきてますよ!」 | アルコールの飲み過ぎ、脂肪肝、胆道系の病気(胆石など) |
この3人組の数値が基準値を超えていたら、それは肝臓があなたに送る必死のSOSです。
「お酒の量を少し減らしてみようかな」「揚げ物を控えてみようかな」と、彼らの声に応えてあげてください。
特に、アルコールをあまり飲まないのに数値が高い場合は、脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患:NAFLD)の可能性も。
放置すると肝硬変や肝臓がんに進行することもあるため、要注意です。
脂質チーム(LDL, HDL, 中性脂肪) 【血液サラサラ度チェック!イケてる血管を目指せ】
血液中のアブラたち。
彼らのバランスが、あなたの血管の未来を決めると言っても過言ではありません!
バランスが崩れた状態を「脂質異常症」と呼び、放置すると動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが急上昇します。
キャラクター名 | 役割(ニックネーム) | 基準値の目安 (mg/dL) | 要注意なのは…?(彼らの主張) | 改善のヒント |
LDLコレステロール | 悪玉コレステロール | 140未満 | 高いとヤバい!「血管の壁にベタベタくっついて、道を狭くしちゃうぞ!」 | 動物性脂肪(肉の脂身、バター)を控え、食物繊維や青魚を! |
HDLコレステロール | 善玉コレステロール | 40以上 | 低いとヤバい!「血管のお掃除屋さんです!私を増やして血管をピカピカに!」 | ウォーキングなどの有酸素運動、青魚やオリーブオイル! |
中性脂肪 (TG) | 皮下脂肪の素 | 150未満 | 高いとヤバい!「エネルギーの使い残しです!甘い物やお酒、炭水化物の摂りすぎですよ!」 | 糖質の摂りすぎに注意!特に夜食は禁物。運動も効果的! |
(参照:日本動脈硬化学会『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版』)
悪玉を減らし、善玉を増やす生活を心がけることが、未来の血管を守る冒険の鍵です!
血糖チーム(空腹時血糖, HbA1c) 【甘い誘惑との戦いの記録がここに…!】
甘くて美味しいものは魅力的ですが、その影響は血液が正直に物語っています。
血糖値のコントロールは、糖尿病予防の最重要クエストです。
検査項目 (キャラクター) | 判定 | 基準値の目安 | 要注意ポイント (証言) |
空腹時血糖 | 正常型 | 110 mg/dL未満 | 高いとヤバい! 「検査直前の血糖値です。高めなら、糖の処理能力が落ちてるサインかも」 |
境界型 | 110~125 mg/dL | ||
糖尿病型 | 126 mg/dL以上 | ||
HbA1c | 正常型 | 5.5 %以下 | 高いとヤバい! 「ごまかしは効きませんよ!ここ1~2ヶ月の血糖コントロール状態を暴露します!」 |
境界型 | 5.6~6.4 % | ||
糖尿病型 | 6.5 %以上 |
(参照:日本糖尿病学会「糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告」)
HbA1cは、過去の血糖値の「通信簿」のようなもの。
「境界型」は糖尿病予備軍のサインです。
この段階で生活習慣を見直せば、まだ引き返せます!
糖尿病になると、網膜症・腎症・神経障害といった恐ろしい合併症のリスクも。
甘い誘惑と上手に付き合っていく方法を考えるきっかけにしましょう。
腎臓チーム(クレアチニン, eGFR) 【体のスーパーフィルター!ろ過機能は万全か?】
腎臓は、血液をろ過して老廃物を尿として排出する、体の「浄水フィルター」。
一度機能が失われると元に戻すのが非常に難しい臓器なので、早期発見が何より大切です。
キャラクター名 | 役割(ニックネーム) | 基準値の目安 | 要注意なのは…?(彼らの報告) |
クレアチニン (Cre) | 血液中のゴミ | 男性:1.0mg/dL程度 女性: 0.7mg/dL程度 | 高いとヤバい! 「フィルターが目詰まりして、ゴミをちゃんと捨てられてません!」 |
eGFR (推算糸球体濾過量) | フィルターの性能指数 | 60mL/分/1.73㎡以上 | 低いとヤバい! 「腎臓のろ過パワーが落ちてきています!100%が満点とすると、今何%かな?」 |
eGFRは、年齢や性別、クレアチニンの値から計算される、腎臓の働きを示す重要な指標です。
この数値が60未満の状態が続くと「慢性腎臓病(CKD)」と診断される可能性があります。
塩分の摂りすぎや高血圧、糖尿病は腎臓に大きな負担をかけるため、生活習慣の見直しが急務です。
貧血チーム(赤血球, ヘモグロビン) 【元気の源、酸素運搬トラックは快調?】
なんだか疲れやすい、めまいがする、顔色が悪い…その原因は、このチームの不調かもしれません。
全身に酸素を届ける重要な役割を担っています。
キャラクター名 | 役割(ニックネーム) | 基準値の目安 | 要注意なのは…?(彼らの状況) |
赤血球 (RBC) | 酸素運搬トラックの数 | 男性: 430~570万個/μL 女性: 380~500万個/μL | 低いとヤバい! 「トラックの台数が足りず、酸素を運ぶのにてんてこ舞いです!」 |
ヘモグロビン (Hb) | トラックに積む酸素の量 | 男性: 13.0~17.0g/dL 女性: 12.0~15.0g/dL | 低いとヤバい! 「トラックはあるけど、荷物(酸素)がスカスカで、全身が酸欠気味…」 |
この数値が基準値より低い状態が「貧血」です。
特に女性は月経の影響で鉄分が不足し、「鉄欠乏性貧血」になりやすい傾向があります。
しかし、背景に消化管の出血など、他の病気が隠れていることも。
鉄分やタンパク質、ビタミンをしっかり摂って、パワフルな運搬チームを育てましょう!
【尿検査からの密告】おしっこは健康のバロメーター!糖や蛋白は何を伝えている?
血液検査だけでなく、尿検査も体からの重要なお便りです。
「おしっこ」と侮るなかれ。
そこには重要な密告が隠されています。
尿検査の項目は、基本的に「陰性(-)」が正常です。
「陽性(+)」が出たら、それは体からの見逃せないメッセージ。
項目 | 密告の内容 | 疑われること |
尿糖 | 「血液中の糖が溢れて、おしっこに漏れ出てきてます!」 | 血糖値がかなり高くなっているサイン。 糖尿病が強く疑われます。 |
尿蛋白 | 「体のフィルター(腎臓)が壊れて、大切なタンパク質が漏れちゃってます!」 | 腎臓がダメージを受けているサイン。 腎炎やネフローゼ症候群などの可能性があります。 |
尿潜血 | 「尿の通り道のどこかから、血が混じってます!事件です!」 | 腎臓、尿管、膀胱などのどこかで炎症や結石、あるいは腫瘍ができている可能性も。 |
これらの項目で陽性(+)が出たら、症状がなくても必ず再検査や精密検査を受けて、原因を突き止めましょう。
【運命の判定が出たら】「C判定以下」だったあなたへ。次にとるべき3つのアクション

さて、冒険の地図を読み解き、「C判定(要再検査・精密検査)」や「D判定(要治療)」という結果を受け取ったあなたへ。
不安で胸がいっぱいかもしれません。
でも、ここからの行動が未来を大きく変えます。
落ち着いて、次の3つのアクションを実行しましょう。
【アクション1】深呼吸して、放置しないと心に誓う
一番やってはいけないのが「怖くて見なかったことにする」こと。
再検査は、病気を確定させるためだけのものではありません。
「心配ないですよ」というお墨付きをもらうための検査でもあります。
どうか、勇気を出して、自分の体と向き合うと決めてください。
【アクション2】すぐに医療機関の予約をとる
結果の紙に書かれている指示に従って、医療機関を受診しましょう。
どこに行けばいいか分からなければ、まずはかかりつけ医か、お近くの内科に相談するのがおすすめです。
その際、必ず健康診断の結果一式を持参してください。
それが最高の紹介状になります。
【アクション3】自分の生活をそっと振り返る
予約が取れたら、少しだけ自分の生活を振り返ってみましょう。
「最近、飲み会が多かったかな」「運動不足だったかも」「そういえば、甘いものをよく食べていたな…」など、結果の数値と自分の生活を結びつけて考えてみるのです。
この振り返りが、診察の時やお医者さんと話す時に、必ず役に立ちます。
【薬剤師からの裏ワザ】結果の紙とお薬手帳は最強コンビ!薬局での賢い活用術

病院に行くのは少しハードルが高い…そんな時は、ぜひ私たち街の薬剤師を頼ってください!
実は、「健康診断の結果」と「お薬手帳」は、あなたの健康を守るための最強コンビなんです。
いつもの薬局にお薬をもらいに来るついでで構いません。
「実は健診で肝臓の数値が少し高くて…」「今飲んでるこの薬、影響ありますか?」と、結果を見せながら気軽に質問してみてください。
- 「このお薬は腎臓に影響することがあるので、eGFRの数値は大事ですね。主治医の先生も確認していると思いますが、私たちも気にかけておきますね」
- 「コレステロールの数値が高いんですね。今度、食事で気をつけられることのパンフレットをお渡ししますよ」
など、あなたの飲んでいる薬と健診結果を結びつけて、専門家の視点からアドバイスができます。
病院の先生には聞きづらいような素朴な疑問も大歓迎。
あなたの健康への冒険を、私たちは全力でサポートします!
【まとめ】健康診断は怖くない!自分を知る最強のツールを使いこなそう

長い冒険、お疲れ様でした!
たくさんのキャラクター(検査項目)たちが、あなたに色々なメッセージを伝えてくれたと思います。
健康診断の結果の見方で一番大切なのは、AかCかで一喜一憂することではありません。
その結果を「自分を知るきっかけ」にして、「未来の健康のための次の一歩」を踏み出すことです。
健康診断は、年に一度、あなたの体の状態を教えてくれる、最高のナビゲーションシステム。
この最強のツールを使いこなし、自分自身の体の最高の理解者になって、キラキラと輝く未来へと進んでいきましょう!
もし道に迷ったら、いつでも私たち薬剤師に声をかけてくださいね。