
「この薬の名前、もしかしてダジャレ?」
お薬手帳を眺めて、ふとクスッと笑ってしまった経験はありませんか?
この記事では、巷でウワサされる薬の名前ダジャレや、思わず「へぇ!」と唸ってしまう面白い由来を持つ薬の名前を徹底解説します!
「タケプロン」「カロナール」「バファリン」…あなたが普段使っている薬の、知られざる面白い裏側がきっと見つかります。
さあ、知的好奇心を満たす、最高に面白い薬の世界へようこそ!
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カテゴリ1:【効果直結型】名前を聞けば効能が分かる!秀逸ネーミング

まずご紹介するのは、その名前を聞いただけで「ああ、あの症状に効くのね!」と効果がすぐにイメージできてしまう、秀逸なネーミングの薬たちです。
ガスコン® (ジメチコン)
名前(ダジャレ)の由来 | 「ガス」を「コントロール」する |
何の薬? | 胃や腸に溜まったガスの泡を消し、お腹の張りを改善します。 |
薬剤師のここだけの話 | ダジャレネーム界の横綱! 効果がこれ以上ないほど分かりやすいですよね。 |
アレロック® (オロパタジン)
名前(ダジャレ)の由来 | 「アレルギー」を「ブロック」する |
何の薬? | 花粉症や蕁麻疹などのアレルギー症状を抑える、非常に有名な薬です。 |
薬剤師のここだけの話 | まさに名は体を表す、代表格。 アレルギーの原因物質を強力にブロックします。 |
タケプロン® (ランソプラゾール)
名前(ダジャレ)の由来 | 製薬会社の「タケダ」と、薬の作用機序である「プロトンポンプ阻害薬」を組み合わせたもの |
何の薬? | 胃酸の分泌を強力に抑え、胃潰瘍や逆流性食道炎を治療します。 |
薬剤師のここだけの話 | 武田製薬は、他にも「タケキャブ」や「タケルダ」など薬の名前に「タケ」つけがちです。 |
ナウゼリン® (ドンペリドン)
名前(ダジャレ)の由来 | 吐き気を意味する「Nausea(ナウゼア)」から |
何の薬? | 胃の動きを活発にし、吐き気を抑えます。 |
薬剤師のここだけの話 | そのものズバリなネーミング。 子どもから大人まで広く使われるお薬です。 |
ラシックス® (フロセミド)
名前(ダジャレ)の由来 | 効果が「6時間続く(Lasts six hours)」 |
何の薬? | 体の余分な水分を尿として出す「利尿薬」。 |
薬剤師のここだけの話 | 海外由来のおしゃれなネーミング。 夜飲むとトイレで眠れないので朝に飲みます。 |
シナール® (アスコルビン酸)
名前(ダジャレ)の由来 | ビタミンCの「C」と「肌が白くなーる」という表現を組み合わせ、「シナール」と名付けられたという説が有力 |
何の薬? | ビタミンCとB5を補給する薬。シミ・そばかすの改善などに。 |
薬剤師のここだけの話 | 美容皮膚科の定番薬。 このダジャレは本当なのか? |
キャベジン®コーワ (MMSC)
名前(ダジャレ)の由来 | 有効成分が発見された「Cabbage(キャベツ)」から |
何の薬? | 荒れた胃の粘膜を修復する成分を含む、有名な市販の胃腸薬です。 |
薬剤師のここだけの話 | 知る人ぞ知るキャベツ由来の胃腸薬。 その名の通り、有効成分MMSCはキャベツの絞り汁から発見されたビタミン様物質で、「ビタミンU」とも呼ばれます。 |
ロコア®テープ (エスフルルビプロフェン)
名前(ダジャレ)の由来 | 「変形性関節症(OA)」の患者さんの「QOL(生活の質)」を向上させたいという願いを込めて、これらを組み合わせた造語から |
何の薬? | 変形性関節症の痛みと炎症を抑える、医療用の強力な貼り薬です。 |
薬剤師のここだけの話 | 運動器(ロコモ)が由来かと思いきや、まさかの造語。 効果が強い分、副作用にも注意が必要で、1日に2枚までしか使えないという制限があります。 |
ムコスタ® (レバミピド)
名前(ダジャレ)の由来 | 胃粘膜(Gastric Mucosa)を安定化(Stabilizer)させる |
何の薬? | 胃の粘膜を保護・修復し、胃炎や胃潰瘍の治療に使われます。 |
薬剤師のここだけの話 | 医療現場では「胃の粘膜を守る薬」の代名詞的存在。 名前の由来を知ると、その役割がさらに深く理解できますね。 |
ムコダイン® (カルボシステイン)
名前(ダジャレ)の由来 | 「Mucous(粘液)」と「Dynamic(流動化)」を組み合わせた言葉に由来 |
何の薬? | ドロドロした痰や鼻水をサラサラにし、体の外に出しやすくします。 |
薬剤師のここだけの話 | 風邪をひいた時に誰もがお世話になる薬の一つ。 粘液(ムコ)を出しやすくしてくれる(ダイン)と覚えると、もう忘れません。 |
ノルバスク® (アムロジピン)
名前(ダジャレ)の由来 | 血管(Vascular)を正常化(Normalize)する |
何の薬? | 血管を広げて血圧を下げる、高血圧治療の代表的な薬です。 |
薬剤師のここだけの話 | 世界中で非常に広く使われている薬。 そのスマートな名前は、薬の作用を的確に表現しています。 |
バファリン® (アスピリンなど)
名前(ダジャレ)の由来 | 胃を守る「緩衝作用(Buffering)」+「アスピリン」 |
何の薬? | 日本で最も有名な解熱鎮痛剤の一つ。 |
薬剤師のここだけの話 | 「バファリンの半分は優しさでできている」という有名なキャッチコピーがありますが、その優しさの正体が、胃を守る緩衝成分(Buffer)だったわけですね。 |
カテゴリ2:【語呂合わせ型】開発者のセンスが光る!爆笑ダジャレネーミング

ここからは、薬剤師が思わず「うまい!」と膝を打つ、ユーモアあふれる名前の薬たちです。
ヨーデル® (センナ・カゼイン)
名前(ダジャレ)の由来 | 「(便が)よう出る」 |
何の薬? | 便秘を改善するお薬(緩下剤)です。 |
薬剤師のここだけの話 | これぞダジャレ系ネーミングの真骨頂! もはや伝説です。 |
カロナール® (アセトアミノフェン)
名前(ダジャレ)の由来 | 「(熱や痛みが)軽くなる」 |
何の薬? | 安全性が高く、子どもから大人まで使える解熱鎮痛剤の代表格。 |
薬剤師のここだけの話 | 「痛いの痛いの、飛んでいけ」と語りかけるような、温かみのあるネーミングです。 |
マイスリー® (ゾルピデム)
名前(ダジャレ)の由来 | より良い睡眠を連想させるように「私の(My)、眠り(Sleep)」から |
何の薬? | 寝つきを良くするための睡眠導入剤です。 |
薬剤師のここだけの話 | 「あなただけの、質の良い眠りを」という優しいメッセージが伝わってきます。 |
アモバン® (ゾピクロン)
名前(ダジャレ)の由来 | 不眠症の方が「あーもう晩だ」と感じる気持ちを表しているという説あり |
何の薬? | 寝つきを良くするための睡眠導入剤です。 |
薬剤師のここだけの話 | 「あーもう晩だ」なんて本当かな? 服用後に苦味の副作用が出ることがあります。 |
バイアグラ® (シルデナフィル)
名前(ダジャレ)の由来 | 「活力(Vigor)」と勃起の力強さをイメージさせる「ナイアガラの滝(Niagara Falls)」を組み合わせた造語 |
何の薬? | ED(勃起不全)治療薬として世界で初めて承認された薬です。 |
薬剤師のここだけの話 | 「力強く、滝のように」というイメージを見事に表現した、歴史に残るネーミング。 元々は狭心症の薬として開発されていた途中で、偶然その効果が発見されたという開発秘話も有名です。 |
デパス® (エチゾラム)
名前(ダジャレ)の由来 | 「憂鬱(Depress)」な気分を「パス(Pass)」させる |
何の薬? | 不安や緊張を和らげたり、筋肉のこりをほぐしたりする薬です。 |
薬剤師のここだけの話 | 公式の由来は「Depassion(苦悩からの解放)」ですが、ニュアンスは非常に近いです。 |
カテゴリ3:【コンセプト型】由来が深い!ロマンチック&カッコイイネーミング

一見すると意味が分からないけれど、その由来を知ると「深い…!」「カッコイイ!」と思える名前たちです。
ハルシオン® (トリアゾラム)
名前(ダジャレ)の由来 | 古代ギリシャの神話に登場する、風と波を静めて穏やかな海にする不思議な力を持つ伝説の鳥「Halcyon(ハルキュオン)」が由来。 |
何の薬? | 短時間作用型の睡眠導入剤です。 |
薬剤師のここだけの話 | ギリシャ神話の穏やかな海を意味する、ロマンチックな名前です。 |
ルネスタ® (エスゾピクロン)
名前(ダジャレ)の由来 | 「Luna(月の女神)」+「Star(星)」を組み合わせた造語で、「夜空を眺めるよりもぐっすり眠る」ことを意味する。 |
何の薬? | 自然な眠りを導く睡眠導入剤です。 |
薬剤師のここだけの話 | 「月や星が輝く夜に、安らかな眠りを」という、詩的で美しい願いが込められています。 |
デエビゴ® (レンボレキサント)
名前(ダジャレ)の由来 | 「Day(日中)」、「Vigor(活力)」、「Go(準備万端、行動できる状態)」を組み合わせた造語 |
何の薬? | 新しいタイプの睡眠薬です。 |
薬剤師のここだけの話 | 「夜ぐっすり眠り、活力ある日中を取り戻す」という前向きでカッコイイ名前。 |
ベルソムラ® (スボレキサント)
名前(ダジャレ)の由来 | フランス語で「美しい」を意味する「belle(ベル)」とラテン語で「眠り」を意味する「somnia(ソンニア)」を組み合わせた造語 |
何の薬? | デエビゴと同じタイプの睡眠薬で、脳を眠りやすい状態に導きます。 |
薬剤師のここだけの話 | 「美しい眠り」という、非常にエレガントな名前。 ルネスタと並んで、睡眠薬の美しい名前の双璧ですね。 |
ネキシウム® (エソメプラゾール)
名前(ダジャレ)の由来 | 「Next Millennium(次の千年紀、新しい時代)」に由来するのではないかという説あり |
何の薬? | 胃酸の分泌を抑える薬。 タケプロンと同じ系統の薬です。 |
薬剤師のここだけの話 | 先発品「オメプラール」の”次(Next)”の世代の薬として作られたことを示す名前。 薬の歴史や進化を感じさせます。 |
ホクナリン®テープ (ツロブテロール)
名前(ダジャレ)の由来 | 「北陸(Hoku)製薬」+「有効成分の化学構造(アミノアルコール、アニリン)」 |
何の薬? | 気管支を広げ、咳や息苦しさを和らげる貼り薬。主に子どもや高齢者に使われます。 |
薬剤師のここだけの話 | タケダのように、開発した製薬会社の名前が入っているパターンです。 富山県の製薬会社「北陸製薬」(当時)が開発したことから。故郷への愛を感じますね。 |
コロネル® (ポリカルボフィルCa)
名前(ダジャレ)の由来 | 作用する場所「結腸(Colon)」が由来 |
何の薬? | 過敏性腸症候群(IBS)の便通異常を改善します。 |
薬剤師のここだけの話 | ちなみに軍隊の「大佐(Colonel)」とは無関係です(笑)。 |
クラビット® (レボフロキサシン)
名前(ダジャレ)の由来 | 「英語: CRAVE(熱望する、切望する)IT」から |
何の薬? | 幅広い細菌に効果を示す、ニューキノロン系の抗菌薬です。 |
薬剤師のここだけの話 | Crave it(待ち望まれた薬)という意味が込められています。 |
リーゼ® (クロチアゼパム)
名前(ダジャレ)の由来 | lyze(分解する)→不安をとる,Rise(上る)→気分高揚,RIESE(独)巨人から。 |
何の薬? | 作用が穏やかな精神安定剤。 |
薬剤師のここだけの話 | 「不安な気持ちを分解して気分を上げる」という意味なんですね。 |
エビリファイ® (アリピプラゾール)
名前(ダジャレ)の由来 | 「Ability(能力)」を「-fy(~にする)」 |
何の薬? | 気分の波を安定させる薬です。 |
薬剤師のここだけの話 | 「本来持っている能力を発揮できるようにする」という、力強い応援歌のようなネーミング。 |
メジコン® (デキストロメトルファン)
名前(ダジャレ)の由来 | 医学(Medico)と咳の「コンコン」を組み合わせた造語 |
何の薬? | 脳の咳中枢に直接作用して、つらい咳を鎮めます。 |
薬剤師のここだけの話 | 咳の「コンコン」が由来なんて、ちょっとカワイイですね。 |
【ここだけの話】なぜ面白い名前が生まれる?製薬会社の知られざる戦略

「偶然の一致はともかく、なぜ製薬会社はわざとダジャレみたいな面白い名前を付けるの?」
それは、ただ面白いから、というだけではありません。
そこには、医療の安全と効果に関わる、深くて知的な戦略が隠されているのです。
医療従事者に「覚えてもらいやすい」という大きなメリット
世の中には、数えきれないほどの種類の薬があります。
私たち医療従事者は、それらを正確に覚えて使い分けなければなりません。
そんな時、ユニークで覚えやすい名前は、記憶に強く残ります。
「お腹のガスなら、ガスコントロールで…ガスコン!」 このように、名前と効果が結びついていると、薬を間違えるリスクを減らすことに繋がるのです。
患者さんの「飲み間違い」を防ぐ効果も期待されている?
これは患者さんにとっても同じです。
「あの、カタカナの長いやつ…なんだっけ?」となるよりも、「吐き気止めのナウゼリン」と覚えている方が、お薬への理解が深まり、飲み間違いや飲み忘れを防ぐ(=アドヒアランス向上)効果が期待できます。
親しみやすい名前は、患者さんが治療に積極的に参加するきっかけにもなる、素晴らしい工夫なのです。
そもそも薬の名前はどう決まる?マジメな命名ルールと遊び心

面白い名前の裏側には、実は非常に厳格でマジメなルールが存在します。
薬の名前の絶対条件「聞き間違いにくい」「他の薬と似ていない」
薬の名前で最も重要なのは「安全性」です。
名前が似ていることで、違う薬を間違って渡してしまったり、飲んでしまったりする事故は、絶対に防がなければなりません。
例えば、以下のような名前の似た薬による間違いが、実際に報告されています。
間違いやすい薬の例 | 主な効果 |
アマリール (Amaryl) | 血糖値を下げる薬 |
アルマール (Armal) | 血圧を下げ、心臓を休ませる薬 |
もし血糖値を下げるつもりが、間違えて血圧の薬を飲んでしまったら…
大変なことになりますよね!
そのため、製薬会社は名前を付ける際に、既存の薬と名前が似ていないか、発音した時に聞き間違えにくくないかなどを、何重にもチェックしているのです。
そのルールの中で光る、製薬会社のネーミング戦略とは?
この厳しい安全性のルールを守った上で、各社は知恵を絞って名前を付けます。
その戦略は、大きく分けると以下のようになります。
- 効果連想タイプ:「ガスコン」のように、効果が直接わかる名前。
- 成分名アレンジタイプ:「タケプロン」のように、成分名や会社名を組み合わせる名前。
- コンセプトタイプ:「ハルシオン」のように、薬に込めた願いやイメージを表現する名前。
まとめ これであなたも薬の雑学王!明日、ヒーローになれるかも?

今回は、薬の名前の由来やダジャレの真相を、これでもかというボリュームで深掘りしてみました。
- 「ヨーデル」や「カロナール」のような爆笑ダジャレもあれば、「ルネスタ」のようなロマンチックな名前もある。
- 面白い名前は、医療安全や患者さんの飲みやすさに貢献するという、マジメな戦略に基づいている。
- 薬の名前は、厳しい安全ルールと、開発者の遊び心の結晶である!
薬の名前一つひとつに、開発者の愛やユーモア、そして安全への祈りが込められていると知ると、なんだか自分の薬に興味がわいてきませんか?
明日、家族や友人に「この薬の名前の由来、知ってる?」と話せば、あなたがヒーローになれること間違いなしです!
そして、もし自分の薬の由来が気になったら、ぜひ薬局で私たち薬剤師に聞いてみてくださいね。
喜んでお調べします!