
「疲れてるだけだし…」、「昔からだから大丈夫だよ」。
自分のいびきを、そう思って見過ごしていませんか?
でも、ちょっと待ってください!
そのいびき、もしかしたらあなたの体が必死に送っているSOSサインかもしれません。
「なぜいびきをかくのか」
そのシンプルな疑問の答えは、時に私たちの健康状態を映し出す鏡になります。
この記事を読めば、いびきの裏に隠された真実や、見逃してはいけない危険なサインが明らかに!
自分や大切な家族の体を守るための知識が満載です。
さあ、ドキドキの健康チェックを一緒に始めましょう!
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そもそも、なぜいびきをかくの?空気の通り道で事件発生中!

いびきは、一言でいうと「空気の通り道(気道)が狭くなって、そこを空気が通る時にのどが振動して鳴る音」のこと。
まるで、細いストローで勢いよく息を吸うと「ヒュー」と音が鳴るのと同じ原理です。
寝ている時、特に仰向けで寝ると、舌の付け根やのどの奥にある「軟口蓋(なんこうがい)」という柔らかい部分が重力で少し落ち込み、空気の通り道を狭めてしまいます。
これを「気道が狭くなる」状態と言います。
主な原因 | 具体的に何が起きているか |
肥満 | のどや首回りに脂肪がつき、気道が内側から圧迫されて狭くなる。 |
アルコール | 全身の筋肉が緩み、のどの筋肉も緩んで気道を塞ぎやすくなる。 |
疲労・ストレス | 強い疲れやストレスにより筋肉の緊張がアンバランスになり、のどの筋肉が緩みやすくなる。 |
加齢 | 年齢とともにのどの筋肉が衰え、気道がたるんで狭くなりやすくなる。 |
鼻のトラブル | 鼻詰まりで口呼吸になり、舌が落ち込んで気道を塞ぎやすくなる。 |
骨格の問題 | 顎が小さい、首が短い、扁桃腺が大きいなど、生まれつきの身体的特徴が気道を狭くする。 |
これらの原因が一つ、あるいは複数重なることで、あなたののどは毎晩、音を奏でる「楽器」になってしまうのです。
【危険度セルフチェック】当てはまったら要注意!いびきをかきやすい人の特徴

「私のいびきは、ただのいびき?それとも危険ないびき?」
って、気になりますよね。
ここで、あなたのいびきの危険度をセルフチェックしてみましょう。
ドキッとする項目があるかもしれません。
最近、体重が増えた
「最近、スーツのズボンがきつくなったな…」なんて感じていませんか?
体重の増加、特に首回りに脂肪がつくことは、いびきの危険度を上げる非常に分かりやすいサインです。
見た目では分からなくても、のどの内側にも脂肪はついています。
この「見えないお肉」が、あなたが眠っている間に気道をじわじわと圧迫し、激しいいびきを引き起こしているのかもしれません。
お酒を飲むと、いびきが大きくなる
楽しいお酒の席。
でも、お酒を飲んだ日の夜って「いびきがうるさかった!」と言われたりしませんか?
アルコールには筋肉を緩ませる「筋弛緩作用」があります。
これがのどの筋肉に働くと、空気の通り道はまるで締まりのないトンネルのように。
普段より激しい振動と大きないびき音を生み出してしまいます。
でも「お酒を飲んだ時だけだから」と安心するのは禁物。
それは、あなたののどが「いびきをかきやすい状態にある」ことの証明なのです。
日中、猛烈に眠くなる ことがある
これは最も注意してほしいサインです!
「夜、ちゃんと寝ているはずなのに、昼間の会議中にカクンと船を漕いでしまう」
「運転中や単純作業中に、耐えられないほどの眠気に襲われる」
こんな経験があるなら、それは危険信号が灯っている証拠。
夜間のいびきによって、実は体は「熟睡」できていない可能性があります。
睡眠の質が著しく低下し、体と脳が十分な休息を取れていない悲鳴が、日中の強烈な眠気として現れているのです。
絶対に放置しないで!いびきの裏に隠れているかもしれない怖い病気

日中の眠気とも深く関連しますが、大きないびきをかく人が最も警戒すべき病気、それが「睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome: SAS)」です。
これは、眠っている間に呼吸が10秒以上止まる「無呼吸」や、呼吸が浅くなる「低呼吸」を、何度も繰り返す病気です。
いびきをかいていた人が、パタッといびきを止め、しばらくして「ガガッ!」と大きな音とともに呼吸を再開する…これが典型的な症状です。
呼吸が止まっている間、体の中では大変なことが起きています。
1. 酸素不足に陥る
血中の酸素濃度が低下し、体は酸欠状態になります。
2. 心臓や血管に大ダメージ
酸素不足を補おうと、心臓は必死に働きます。
これにより血圧が急上昇し、心臓や血管にものすごい負担がかかります。
3. 脳が覚醒する
体が「危険だ!」と感じ、脳は眠りから覚醒して呼吸を再開させようとします。
これを一晩に何十回、何百回と繰り返すため、深い眠りが全く取れなくなります。
この状態を放置すると、以下のような命に関わる病気のリスクが急激に高まることが分かっています。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)が引き起こす病気のリスク |
☆ 高血圧 |
☆ 糖尿病 |
☆ 心筋梗塞・狭心症 |
☆ 脳卒中 |
☆ 不整脈 |
(参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠時無呼吸症候群 / SAS」)
「たかがいびき」が、気づかないうちにあなたの寿命を縮めているかもしれないのです。
これは決して大げさな話ではありません。
いびき治療の切り札?CPAP(シーパップ)ってどんなもの?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断された場合、最も標準的で効果の高い治療法が「CPAP(シーパップ)療法」です。
CPAPとは、「Continuous Positive Airway Pressure(経鼻的持続陽圧呼吸療法)」の略。
なんだか難しそうですが、原理はとてもシンプルです。
鼻に装着したマスクから、機械で圧力をかけた空気を送り込み、その風の力で狭くなった気道を物理的にグッと広げてあげるのです。
まるで、しぼみかけた風船に空気を入れて膨らませておくようなイメージ。
これにより、睡眠中の無呼吸やいびきを防ぎ、朝までぐっすり眠れるようになります。
「マスクをつけて寝るなんて、息苦しそう…」と不安に思うかもしれません。
でも、ほとんどの方が数日で慣れ、CPAPなしでは眠れないほどの快適さを実感します!
CPAP治療を始めると…
・ いびきがピタッと止まる
・ 日中の眠気がウソのようになくなる
・ 朝の目覚めがスッキリする
・ 血圧が安定する
など、劇的な改善が期待できます。
この治療は医師の診断のもとで行われ、一定の基準を満たせば健康保険が適用されます。
お薬でピタッと止まる?薬剤師が教えるいびきと薬の正しい関係

調剤薬局で働いていると、「いびきに効く薬はありませんか?」と尋ねられることがたまにあります。
でも、残念ながら「これを飲めばいびきが治る」という魔法のような飲み薬は、今のところ存在しません。
ただし、原因によっては薬局で手に入る商品が助けになることもあります。
いびき対策グッズの種類 | どんな人向け? | 期待できる効果と注意点 |
点鼻薬・鼻腔拡張テープ | 鼻づまりが原因のいびき | [効果] 鼻の通りを良くして、鼻呼吸をスムーズにします。 口呼吸が改善され、いびきが軽減されることがあります。 [注意点] あくまで対症療法。 アレルギーなどが原因なら、根本治療が必要です。 |
口腔内スプレー・のどスプレー | のどの乾燥が原因のいびき | [効果] のどの粘膜に潤いを与え、組織の振動を和らげます。 [注意点] 効果は一時的なものが多く、気道の狭窄が原因のいびきにはあまり効果がありません。 |
マウスピース(市販) | 軽度のいびき | [効果] 下あごを少し前に出すことで、舌の落ち込みを防ぎ、気道を確保します。 [注意点] 歯やあごに合わないと、かえって体を痛めることも。 歯科で作成する本格的なものとは異なります。 |
大切なのは、これらのグッズが「なぜいびきをかくのか」という根本原因を治すものではない、ということです。
まずは一度、私たち薬剤師に「こんなことで困っているんだけど…」と気軽にご相談ください。
あなたのお悩みをお伺いし、最適な選択肢を一緒に考えさせていただきます。
「あれ、おかしいな」と思ったら。病院へ行くべきサインとは?

「私のいびき、もしかしてヤバいかも…」
そう感じたら、迷わず専門の医療機関を受診してください。
早期発見、早期治療が何よりも大切です。
<こんなサインがあったら、すぐに病院へ!>
・ 家族から「いびきの途中で呼吸が止まっている」と指摘された
・ 夜中に息苦しくて目が覚めることがある
・ 朝起きた時に頭が痛い、熟睡感がない
・ 日中、場所や状況を選ばず猛烈な眠気に襲われる
では、何科に行けばいいのでしょうか?
いびきや睡眠時無呼吸症候群の相談は、主に「耳鼻咽喉科」「呼吸器内科」「睡眠外来(睡眠センター)」などの専門科が担当しています。
まずはかかりつけ医に相談し、適切な専門医を紹介してもらうのも良い方法です。
病院では、睡眠中の状態を詳しく調べる検査(ポリソムノグラフィー検査など)を行い、いびきの原因や重症度を正確に診断してくれます。
自分の体を守れるのは自分だけ!今日から始めるぐっすり習慣

病気と診断されるほどではなくても、いびきは改善したいですよね。
毎日の生活の中に、いびきを軽減するヒントはたくさん隠されています。
今日からできることを始めて、静かで快適な眠りを手に入れましょう!
今日からできる!いびき改善習慣 | なぜ効果があるの? |
横向きで寝る | 仰向けに比べて舌がのどの奥に落ち込みにくく、気道が確保されやすくなります。 抱き枕を使うのもおすすめです。 |
枕の高さを調整する | 枕が高すぎると首が曲がって気道を圧迫し、低すぎると舌が落ち込みやすくなります。 自分に合った高さを見つけましょう。 |
寝酒をやめる・控える | 寝る直前のアルコールは、のどの筋肉を緩ませる元凶。 少なくとも就寝の3~4時間前には飲み終えるようにしましょう。 |
適正体重を維持する | バランスの取れた食事と適度な運動で、首回りの脂肪を減らすことが、いびき改善の根本的な解決策になります。 |
部屋の湿度を保つ | 空気が乾燥しているとのどや鼻の粘膜が刺激され、いびきが悪化します。 加湿器などを使って、適切な湿度(50~60%)を保ちましょう。 |
口にテープを貼って寝る | 鼻呼吸を促すための専用テープが市販されています。 口呼吸を防ぎ、舌の落ち込みを抑える効果が期待できます。 |
一つでもいい、できそうなことから始めてみませんか?
その小さな一歩が、あなたの未来の健康を守る大きな一歩になるはずです。
まとめ

いかがでしたか?
「たかがいびき」の裏には、これほど多くの体のサインや病気のリスクが隠れていることに、驚かれたかもしれません。
なぜいびきをかくのか、その原因を正しく知ることこそが、不安を解消し、具体的な対策を立てるための最も重要な第一歩です。
あなたのいびきは、決して恥ずかしいものではなく、あなたの体が発している大切なメッセージ。
どうかその声に耳を傾けてあげてください。
そして、もし少しでも不安や疑問があれば、私たち町の薬局を頼ってくださいね。
いつでもあなたのお話を聞く準備はできています。
【参照元】