胃薬の【種類】と【使い分け】丸わかり!症状別(胃痛・もたれ)に選ぶコツ

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胃薬の【種類】と【使い分け】丸わかり!症状別(胃痛・もたれ)に選ぶコツ

うぅ…胃がキリキリ痛い!昨日食べ過ぎたせいか、ズーンと重い…。

そんな胃のSOS、ツラいですよね(涙)。

急いで薬局に駆け込んだはいいけど、棚にはズラリと並ぶ胃薬の山!

「H2ブロッカー?」「消化酵素?」「健胃薬?」もうワケがわからない!

多くの種類がある胃薬ですが、実はあなたの症状に合わせた「正しい使い分け」が、スッキリへの一番の近道なんです。

この記事では、あなたの「今のツラさ」にピンポイントで効く胃薬の種類と使い分けのコツを、徹底解説!

もう胃薬選びで迷わせません!

あなたの胃を、一緒に守りましょう!


関連記事「逆流性食道炎の寝方、右下はダメ!左向きで朝までぐっすり眠るコツ」もあわせてご覧ください!


目次

あなたの胃、今どんな感じ? ツラい症状で「胃のタイプ」診断!

「胃がツラい」と一口に言っても、その感じ方は人それぞれですよね。

まずは、あなたの胃が今どんな悲鳴を上げているのか、耳を澄ませてみましょう。

タイプによって選ぶべき胃薬の種類も、その使い分けもガラッと変わってくるんですよ!

キリキリ・シクシク…「攻撃型」の胃痛さん(胃酸過多タイプ)

  • 「あ”ー!キリキリ痛い!」
  • 「みぞおちがシクシクする…」
  • 「特に、お腹が空いた時や、夜中に痛むことが多い」
  • 「コーヒーや辛いモノ、お酒を飲んだ後に悪化する気がする」

こんなあなたは、典型的な「攻撃型」の胃痛さん!

これは、胃を守る粘膜(バリア)よりも、胃を溶かす「胃酸」の攻撃パワーが強くなりすぎている状態です。

ストレス社会で戦う現代人に、めちゃくちゃ多いタイプ(涙)。

ストレスや不規則な食事、刺激物が、胃酸の蛇口を「全開」にしてしまっているんです!

ズーンと重い・ムカムカ…「お疲れ型」の胃もたれさん(消化不良タイプ)

  • 「昨日、焼肉食べたのが…ズーンと胃に残ってる…」
  • 「食後、いつまでもお腹が苦しくて、重い」
  • 「なんだかムカムカして、食欲もわかない…」

こんなあなたは、胃が「もう働きたくないよー!」とグッタリしている「お疲れ型」の胃もたれさん。

原因は大きく2つ。

1つは、脂っこいものや炭水化物の食べ過ぎで、胃の「消化パワー(消化酵素)」が追いついていないこと。

もう1つは、加齢や疲れで、胃そのものの「動き(蠕動運動)」が鈍くなり、食べ物を腸へ送り出す力が弱っていることです。

胃が、まるで渋滞を起こしているイメージですね。

ゲップで酸っぱい・胸がヤケる…「逆流型」の胸焼けさん

  • 「胸のあたりが、カーッと熱い!焼ける感じ!」
  • 「ゲップと一緒に、酸っぱいものがこみ上げてくる…」
  • 「食後すぐに横になると、症状が悪化する」

こんなあなたは、胃酸が本来いるべき場所(胃)から、食道へ「逆流」してしまっている「逆流型」の胸焼けさん。

胃酸は超強力な「酸」なので、バリア機能が弱い食道の粘膜は、ひとたまりもありません(涙)。

胃酸が出すぎている「攻撃型」の要素に加え、食べ過ぎや肥満、加齢などで、胃と食道の間をキュッと締めている「フタ(下部食道括約筋)」が緩んでいる可能性があります。

食欲不振・なんとなく不調…「夏バテ型」の胃弱さん

  • 「最近、全然お腹が空かない…」
  • 「少し食べただけですぐお腹がいっぱいになる」
  • 「胃が疲れてる感じで、元気が出ない」

こんなあなたは、胃の「地力(じりき)」そのものが低下している「夏バテ型」の胃弱さん。(※夏じゃなくてもなります!)

暑さや冷房、不規則な生活、精神的な疲れなどで、胃の運動機能や、消化液を出す力そのものが「省エネモード」になってしまっている状態。

胃が「ストライキ」を起こしているようなものですね。

さあ、あなたの胃はどのタイプでしたか?

自分のタイプがわかれば、いよいよ「胃薬ヒーローたち」の出番です!

胃薬ヒーロー大集合!【種類】別、得意ワザ(効果)を大解剖!

薬局の棚に並ぶ、無数の胃薬たち。

彼らは、それぞれ「得意ワザ」を持ったヒーローなんです!

あなたの胃のピンチを救うため、どんな種類のヒーローがいるのか、ワクワクしながら見ていきましょう!

【H2ブロッカー】(ガスター10など) 出すぎた胃酸を「元栓」から止める!切り札的ヒーロー

ヒーロー名(成分例):
ファモチジン など

代表的な市販薬:
ガスター10

得意ワザ(作用):
胃酸は、ヒスタミンという物質が「胃酸出せー!」と命令(H2受容体にカチッとくっつく)することで分泌されます。
H2ブロッカーは、この命令を「ブロック」!
まさに、胃酸の「元栓」を締めてくれる、超強力なヒーローです。

出動シーン:
「攻撃型」のキリキリ胃痛、「逆流型」のしつこい胸焼け。

知っ得メモ:
もともと医療用(お医者さんの処方)だった成分が市販薬になった(スイッチOTC)実力派!
その分、薬剤師からの説明が必要な「第一類医薬品」に分類されます。
効果はパワフルですが、出動(効果発現)までに少し時間(30分〜)がかかるのが特徴です。

【制酸剤】(太田胃散<分包>など) 今ある胃酸を「中和」して優しくする!スピード系ヒーロー

  • ヒーロー名(成分例):
    炭酸水素ナトリウム、合成ヒドロタルサイト、水酸化マグネシウム など
     
  • 代表的な市販薬:
    太田胃散<分包>、パンシロン01プラス など(※多くは総合胃腸薬に配合されています)
     
  • 得意ワザ(作用):
    既に出てしまって暴れている胃酸(酸性)に、アルカリ性の成分をぶつけて「中和」!
    まるで火事に消火器をかけるように、胃酸の攻撃力を一瞬で奪います。
     
  • 出動シーン:
    「今すぐ、この胸焼けをなんとかしたい!」
    「飲んだ後のムカムカがツラい!」という時の緊急出動。
     
  • 知っ得メモ:
    とにかく「速さ」が命のスピード系!
    飲んですぐにスッと楽になる感覚は、このヒーローのおかげ。
    ただし、持続時間は短め。
    「元栓」は開いたままなので、また胃酸が出てくると症状がぶり返すことも。

【胃粘膜保護薬】(セルベールなど) 傷ついた胃を「ベール」で守り修復!守護神ヒーロー

  • ヒーロー名(成分例):
    テプレノン、スクラルファート、アズレンスルホン酸ナトリウム など
     
  • 代表的な市販薬:
    セルベール、スクラート胃腸薬、ストマクールA細粒 など
     
  • 得意ワザ(作用):
    胃酸の攻撃で荒れてしまった「胃の粘膜」を守ります!
    • テプレノン(セルベールなど):
      胃の粘液(ベール)を増やして、バリア機能を高めます。
    • スクラルファート(スクラートなど):
      荒れた患部に「直接」ペタッと貼りついて、絆創膏のように保護&修復します。
  • 出動シーン:
    「空腹時にシクシク痛む」
    「胃が荒れてる感じがする」という時の、粘膜が弱っているサインに。
     
  • 知っ得メモ:
    胃酸を直接抑えるのではなく、「守り」に特化した守護神。
    胃痛が慢性化している人や、胃が弱いと感じている人の頼れるお守り的存在です。

【消化酵素薬】(タカヂア錠など) 食べ過ぎの「消化」を強力サポート!助っ人ヒーロー

  • ヒーロー名(成分例):
    ジアスターゼ、リパーゼ、プロテアーゼ など
     
  • 代表的な市販薬:
    タカヂア錠、新ビオヂアス錠、太田胃散A<錠剤>(総合胃腸薬)など
     
  • 得意ワザ(作用):
    「消化酵素」という、食べ物を分解するスペシャリスト。
    • アミラーゼ(ジアスターゼなど):
      炭水化物(ごはん、パン、麺)担当。
    • リパーゼ:
      脂質(焼肉、天ぷら、ケーキ)担当。
    • プロテアーゼ:
      タンパク質(お肉、お魚)担当。
       
      これらを外から補うことで、胃の消化作業を強力にサポートします!
  • 出動シーン:
    「お疲れ型」の食べ過ぎ、胃もたれ。
     
  • 知っ得メモ:
    「脂っこいものが好き」ならリパーゼ強化型、「炭水化物をドカ食いしがち」ならアミラーゼ強化型など、自分の食生活に合わせて選ぶのも「ツウ」な使い分けです!

【健胃薬】(新キャベジンコーワSなど) 弱った胃を「元気」にする応援団ヒーロー!

  • ヒーロー名(成分例):
    センブリ、ソウジュツ、ケイヒ などの「生薬」
     
  • 代表的な市販薬:
    新キャベジンコーワS(総合胃腸薬)、大草胃腸薬(総合胃腸薬) など
     
  • 得意ワザ(作用):
    生薬の「苦味」や「香り」が、胃を適度に刺激! それによって、
    • (1)胃の「運動(蠕動運動)」が活発になる!
    • (2)「唾液」や「胃液」の分泌が促される!
       
      …という、胃の「本来の力」を目覚めさせてくれる応援団です。
  • 出動シーン:
    「夏バテ型」の食欲不振、胃弱、胃もたれ。
     
  • 知っ得メモ:
    弱った胃を「叩き起こす」イメージ。
    漢方薬に近い考え方で、胃そのものを元気にしてくれる、縁の下の力持ちです。
    (※新キャベジンコーワSは、胃粘膜修復成分MMSCも含む「総合胃腸薬」ですが、健胃生薬も配合されています)

【総合胃腸薬】(パンシロンなど) あれもこれも…な欲張りさんの「オールラウンダー」

  • ヒーロー名(成分例):
    上記の成分が、いろいろ入ってる!
     
  • 代表的な市販薬:
    パンシロン(各種)、第一三共胃腸薬(各種)、太田胃散<缶> など
     
  • 得意ワザ(作用):
    「制酸剤」+「消化酵素」+「健胃薬」+「胃粘膜保護薬」…といった感じで、複数のヒーローがチームを組んでいます。
     
  • 出動シーン:
    「胃痛もするし、胃もたれもする」「原因はハッキリしないけど、とにかく胃が不調」という、複雑な症状に。
     
  • 知っ得メモ:
    一番手にとりやすい、万能型のオールラウンダー。
    困った時の「お守り」として常備している方も多いのでは?
    ただし、この「万能」が、時には「落とし穴」になることも…(詳しくは後ほど!)。

【ひと目でわかる!胃薬ヒーロー【種類】別早見表】

ヒーローの【種類】得意ワザ(作用)こんな症状に(出動シーン)代表的な市販薬例
H2ブロッカー胃酸の「元栓」を止めるキリキリ胃痛、しつこい胸焼けガスター10
制酸剤出すぎた胃酸を「中和」今すぐ消したい胸焼け、胃痛(総合胃腸薬に配合多)
胃粘膜保護薬胃の粘膜を「守り・治す」空腹時の痛み、胃の荒れセルベール、スクラート
消化酵素薬食べ物の「消化」を助ける食べ過ぎ、胃もたれタカヂア錠、新ビオヂアス錠
健胃薬弱った胃を「元気」にする食欲不振、胃弱(総合胃腸薬に配合多)
総合胃腸薬色々な成分で「広く」カバー複雑な症状、どれかわからない不調パンシロン、太田胃散

参照:日本OTC医薬品協会「今月の症状別アドバイス胃の調子が悪い」第一三共ヘルスケア「ガスター10」製品情報エーザイ「セルベール」製品情報ロート製薬「パンシロン」製品情報ほか

症状別!運命の【胃薬】【使い分け】マッチングショー!

ヒーローたちの得意ワザがわかったところで、いよいよ実践編!

あなたの「ツラい症状(悩み)」と、それを解決してくれる「運命の胃薬」をマッチングさせましょう!

この使い分けこそが、スッキリへの最短ルートです!

【キリキリ胃痛・胸焼け】がツラい! → 「胃酸」を抑えるタイプ(H2ブロッカー・制酸剤)を選べ!

(「攻撃型」「逆流型」のあなたへ)

あなたの敵は、明らかに「出すぎた胃酸」です!

戦い方は2パターンあります。

  1. 「今すぐ!この痛みを!」スピード重視なら → 【制酸剤】
    • 飲んですぐに胃酸を中和してくれる「スピード系ヒーロー」の出番。ただし、効果は一時的。
  2. 「根本的に!持続的に!」パワー重視なら → 【H2ブロッカー】
    • 胃酸の「元栓」を締める「切り札ヒーロー」。効果が出るまで少し時間はかかりますが、持続力とパワーはピカイチ。夜中の痛みや、繰り返す症状にはこちらがオススメ。
  3. (合わせワザ)「荒れた粘膜も守りたい!」なら → 【胃粘膜保護薬(スクラルファートなど)】
    • 胃酸を中和しつつ、荒れた患部に「絆創膏」を貼ってくれる【胃粘膜保護薬】(特にスクラルファート系)も強力な味方です!

【薬剤師のお節介】

「H2ブロッカー(ガスター10など)」は第一類医薬品です。薬局で薬剤師に「今、こんな症状で…」と、ぜひ相談してくださいね。あなたの症状に本当に必要か、安全に使えるか、私たちがしっかり確認します!

【胃もたれ・食べ過ぎ】で動けない! → 「消化」を助けるタイプ(消化酵素薬)が相棒!

(「お疲れ型」のあなたへ)

あなたの胃は、大量の食べ物を前に「キャパオーバー」を起こしています!

ここは迷わず「助っ人ヒーロー」を呼びましょう!

  • 選ぶべきは → 【消化酵素薬】(または、消化酵素がしっかり入った総合胃腸薬)
    • 脂っこいもの(焼肉、唐揚げ)が原因なら、「リパーゼ(脂質分解酵素)」が多めに入ったもの。
    • 炭水化物(ラーメンライス、ケーキバイキング)が原因なら、「アミラーゼ(炭水化物分解酵素)」が多めに入ったもの。
    • …と【使い分け】ができたら、あなたはもう【胃薬】上級者! 薬局の薬剤師に「昨日、脂っこいもの食べ過ぎちゃって…」と伝えてもらえれば、ピッタリの助っ人を選びます!

【薬剤師のお節介】

胃の「動き」自体も悪くなっていることが多いので、胃の運動を促す「健胃薬」や「胃運動機能改善薬(トリメブチンマレイン酸塩など)」が一緒に配合されたタイプも、とってもオススメですよ!

【空腹時の痛み・荒れた感じ】がする → 「胃粘膜保護薬」で優しく包み込もう!

(「攻撃型」の中でも「粘膜弱り型」のあなたへ)

空腹時に痛むのは、胃酸から胃を守る「ベール(粘液)」が薄くなり、胃酸が直接、胃の壁を攻撃しているサインかも!

攻撃(胃酸)を止めるのも大事ですが、まずは「守り」を固めましょう!

  • 選ぶべきは → 【胃粘膜保護薬】
    • 胃のベール(粘液)を増やしてバリアを強化する「テプレノン(セルベールなど)」。
    • 荒れた場所に直接貼りつく「スクラルファート(スクラートなど)」。
    • これら「守護神ヒーロー」で、傷ついた胃を優しく包み込み、修復する時間を稼いであげてください!

【食欲がない・胃が弱ってる】 → 「健胃薬」で胃のエンジンをかけ直そう!

(「夏バテ型」のあなたへ)

胃が「ストライキ」を起こしている時は、無理に消化酵素などで働かせるより、胃の「やる気スイッチ」を押してあげるのが先決です!

  • 選ぶべきは → 【健胃薬】(生薬がメインのもの)
    • 「応援団ヒーロー」である生薬の力で、胃の運動や消化液の分泌を、穏やか〜に促します。
    • 「ああ、なんかお腹空いてきたかも…」という感覚を取り戻すのが目標です。
    • もちろん、消化を助ける「消化酵素」も一緒に入っていると、弱った胃にはさらに優しいですね!

薬剤師がコッソリ教える!【胃薬】の【使い分け】「落とし穴」と「裏ワザ」

さあ、ここからは調剤薬局の薬剤師だからこそお伝えしたい、ちょっと「ディープ」な【胃薬】の【使い分け】術。

知っていると「ソン」しない、でもちょっと「お節介」なアドバイスです(笑)。

その「総合胃腸薬」、本当に必要? 実は損してるかも…

「困った時の、総合胃腸薬」…わかります、その安心感!

でも、オールラウンダーヒーロー(総合胃腸薬)は、「広く浅く」なりがち。

例えば…

  • 【落とし穴1】 「攻撃型(胃酸過多)」でキリキリ痛いのに、胃の動きを活発にする「健胃薬」が入った総合胃腸薬を飲む。
    • → 胃の動きが良くなるのはいいことですが、胃酸分泌も促されて、かえって痛みが強まる…なんて可能性もゼロではありません(※製品によります)。
  • 【落とし穴2】 「お疲れ型(胃もたれ)」で消化不良なのに、胃酸をガッツリ抑える「H2ブロッカー」や強力な「制酸剤」を飲む。
    • → 胃酸は、消化を助ける大切な役割も持っています。必要以上に胃酸を抑えすぎると、かえって消化不良を助長してしまうことも…。

【極意】
「なんとなく不調」なら総合胃腸薬もアリ。
でも、「胃痛!」「もたれ!」と症状がハッキリしているなら、その症状に「特化」したヒーロー(単剤か、それに近い処方)を選ぶ方が、早く、安く、スッキリ解決できることが多いんです!
これぞ【使い分け】の極意!

牛乳で胃薬はNG? 飲むタイミング(食前・食後・食間)の深いワケ

「薬、いつ飲んでますか?」

「水以外のもので飲んでませんか?」

ドキッとした、あなた! 薬の効果を半減させてるかもしれませんよ!

【飲み物】

  • 基本は「水」か「ぬるま湯」!
  • 牛乳で飲むのは? → 牛乳が胃の粘膜を保護するイメージ、ありますよね。でも、薬の成分(特に一部の薬)と牛乳のカルシウムがくっついて、吸収が悪くなることがあります。また、胃酸を中和することで、胃酸によって溶けるように設計された薬がうまく溶けない可能性も。
  • お茶・コーヒー・アルコールは? → もってのほかです(怒)! カフェインやタンニン、アルコールが薬の作用に影響したり、胃への刺激を強めたり、副作用が出やすくなったりします。絶対にやめましょう!

【飲むタイミング】

これ、めちゃくちゃ大事です! ヒーローは「出動のタイミング」を間違えると活躍できません!

  • 「食前」(食事の約30分前)
    • 代表選手:健胃薬
    • 理由: これから入ってくる食べ物を「迎え撃つ」ため! 事前に胃の運動や胃液分泌を促し、食欲をアップさせます。
  • 「食後」(食事の後30分以内)
    • 代表選手:消化酵素薬
    • 理由: 食べた物と「一緒」になって、消化を助けるため! 食べ物が胃からいなくなってから(食後2時間とか)飲んでも、「時すでに遅し!」です。
  • 「食間」(食事と食事の間=食事から約2時間後)
    • 代表選手:制酸剤】、【胃粘膜保護薬
    • 理由: 胃の中が「空っぽ」の時が狙い目!
      • (制酸剤)空腹時で、胃酸の濃度がダイレクトに影響する時に中和!
      • (胃粘膜保護薬)食べ物に邪魔されず、荒れた粘膜に「直接」貼りつくため!
  • 「症状が出た時」
    • 代表選手:H2ブロッカー
    • 理由: 痛い時、胸焼けがする時に「元栓」を締めるため。ただし、製品によっては「食後」など指定がある場合もあるので、説明書を必ず確認!

(※製品によって指定が異なる場合があります。必ず、購入した薬の説明書(添付文書)の「用法・用量」を正しく守ってください!)

H2ブロッカーと制酸剤、どっちがいいの? 究極の選択!

「胃酸を抑える」という目的は同じでも、この2人は「戦い方」が違います。

【制酸剤】(スピード系ヒーロー)

  • 強み: 即効性(飲んですぐ楽になる)
  • 弱み: 持続性(効果が短い)
  • オススメな人: 「今、この瞬間の胸焼け」をなんとかしたい人。

【H2ブロッカー】(切り札ヒーロー)

  • 強み: 持続性・パワー(元栓からしっかり止める)
  • 弱み: 即効性(制酸剤よりは遅い)
  • オススメな人: 「持続的な胃痛」「夜中や空腹時に痛む」人。

【薬剤師のお節介】
市販薬の中には、この2つの成分が「両方」入った、まさに「ハイブリッド型」のヒーロー(例:パンシロンキュアSPなど)も存在します。
「スピード」も「持続力」も欲しい!という欲張りさん(?)は、薬剤師に相談してみてくださいね。

ちょっと待って!その症状、市販薬じゃダメかも?

ここまで、【胃薬】の【種類】と【使い分け】について、熱く語ってきました。

市販薬は、あなたの強い味方です。

でも、忘れないでください。私たち薬剤師は、あなたの「命」と「健康」を守るのが仕事。

市販薬で「様子を見ちゃいけない」危険なサインも、お伝えする義務があります。

こんな症状が出たら、今すぐ病院へGO! 危険なサインリスト

以下の症状が「一つでも」当てはまったら、市販薬でごまかしている場合ではありません!

胃薬のことは忘れて、すぐに医療機関(消化器内科など)を受診してください!

(激痛) 冷や汗が出るほどの激痛、のたうち回るような痛み
(場所) 痛みが胃だけじゃなく、背中や胸、肩にも広がる(※胃潰瘍や十二指腸潰瘍の穿孔、膵炎、心筋梗塞などの可能性)
(便) 黒いタール状の便、または血が混じった便が出た(※胃や腸から出血しているサイン)
(嘔吐) 吐血した(真っ赤な血、またはコーヒーのカスのような黒っぽいもの)
(持続) 何を食べても、飲んでも吐いてしまう
(全身) 急激に体重が減った(ここ数ヶ月で理由なく数キロなど)
(発熱) 胃痛や腹痛とともに、発熱がある

これらは、市販薬で対応できるレベルを、完全に超えています。[

自己判断は、絶対に禁物です!

2週間飲んでもスッキリしない…それはなぜ?

「H2ブロッカー、もう2週間飲んでるけど、イマイチだなぁ…」

「総合胃腸薬、ずっと飲み続けてるけど、やめると不安…」

ダメです!!

市販の胃薬(特にH2ブロッカーなど)は、漫然と飲み続ける薬ではありません

多くの薬の添付文書には、「5〜6回(または3〜5日)服用しても症状が改善しない場合」や「2週間を超えて服用しないでください」といった記載があります。(※必ず、ご自身の薬の説明書を確認してください

2週間飲んでもスッキリしない理由、それは…

  1. 使い分けのミス
    そもそも、あなたの症状と、選んだ胃薬の種類がマッチしていない(例:胃もたれにH2ブロッカーを使っている)。
     
  2. 病気の隠れ
    市販薬では手に負えない「胃炎」「胃潰瘍」「十二指腸潰瘍」などが隠れている。
     
  3. 菌の仕業:
    「ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)」が胃に住み着いていて、粘膜を荒らし続けている(※病院での除菌治療が必要です)。
     
  4. もっと怖い病気:
    頻度は稀ですが、胃がんなどの重篤な病気が、胃炎のような顔をして隠れている。
     
  5. 生活習慣:
    薬で症状を抑えつつも、暴飲暴食、ストレスフルな生活など、「根本原因」を全く改善できていない。

ダラダラと市販薬を飲み続けることは、「危険なサイン」を見逃すことにつながります

「おかしいな」「治りが悪いな」と思ったら、それは「病院へ行く」というサインです!

ためらわずに、私たち薬剤師やお医者さんに相談してくださいね。

まとめ 【胃薬】の【種類】と【使い分け】をマスターして、快適な胃袋ライフを!

長い冒険、本当にお疲れ様でした!

もう、薬局の胃薬コーナーの前で、フリーズすることはありませんね!

  • あなたの胃の不調は、「攻撃型(胃酸)」「お疲れ型(消化)」「逆流型(胸焼け)」「夏バテ型(胃弱)」…どのタイプでしたか?
  • 胃薬には、H2ブロッカー、制酸剤、粘膜保護薬、消化酵素薬、健胃薬などたくさんの種類があり、それぞれ「得意ワザ」が違いましたね。
  • 大切なのは、自分の症状に合わせた「特化型」のヒーローを選び、正しい「タイミング」で出動(服用)させること! この使い分けが、スッキリへの最短ルートです。
  • でも、「総合胃腸薬」が便利な時もあるし、自己判断に迷ったら「薬剤師に相談する」のが最強の使い分け術!
  • そして何より、市販薬で対応できるのは「一時的」で「軽度」な症状だけ。
  • 「危険なサイン」や「2週間ルール」を絶対に守って、無理は禁物!

胃薬は、あなたのツラい症状を助けてくれる、心強い味方です。

でも、一番のヒーローは、毎日の生活習慣に気をつけ、自分の胃を大切にする「あなた自身」です。

もし、また胃のことで迷ったら、いつでもこの記事を読み返しに来てくださいね。

そして、お近くの薬局の薬剤師に、「私の胃、今こんな感じなんです!」って、気軽に声をかけてください。私たちは、あなたの「快適な胃袋ライフ」を、全力で応援しています!

(※)免責事項
本記事は、調剤薬局の薬剤師の知見に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されています。記事内で紹介した市販薬(OTC医薬品)は一例であり、特定の製品の購入を推奨するものではありません。胃薬の種類と使い分けに関する情報は、日本OTC医薬品協会や各製薬会社の公開情報などを参考にしていますが、すべての個別の状況に当てはまるものではありません。市販薬の使用にあたっては、必ず製品の説明文書(添付文書)をよく読み、用法・用量を守って正しくご使用ください。アレルギー体質の方、持病をお持ちの方、他の薬を服用中の方、妊娠・授乳中の方、高齢者、小児は、購入前に必ず薬剤師または登録販売者にご相談ください。症状の診断や治療については、市販薬を使用しても症状が改善しない・悪化する場合、または本記事中の「危険なサイン」に当てはまる場合は、自己判断を続けず、速やかに医療機関(消化器内科など)を受診してください。本記事の情報を利用した結果生じたいかなる損害についても、当薬局は責任を負いかねますので、ご了承ください。