それ、どの頭痛?種類と危険サインの見分け方を徹底解説!

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それ、どの頭痛?種類と危険サインの見分け方を徹底解説!

「この頭痛、いつものと違う?」

「もしかして大変な病気?」

そんな不安を感じていませんか?

突然の激しい痛みや、いつまでも続く鈍い痛み…頭痛に悩まされる方は本当に多いですよね。

でも、ちょっと待って!

頭痛にはいくつかの種類があり、それぞれ原因や対処法、そして注意すべき危険なサインが違うんです。

この記事では、あなたの頭痛がどの種類なのかをざっくりと判断するための見分け方と、「これはヤバい!」とすぐに病院へ行くべきサインを、調剤薬局の視点から優しく徹底解説します!

自分の頭痛の種類と見分け方を知ることで、「なんで痛いの?」「どうすればいいの?」というモヤモヤから卒業して、痛みに負けない毎日を手に入れましょう!

もちろん、自己判断はNG!

参考にした後は、必ず早めに医療機関を受診してくださいね!


関連記事「痛み止めは食後が正解?薬剤師が教える効果的なタイミング」も合わせてご覧ください!


目次

あなたの頭痛はどれ?知っておきたい「頭痛の種類」を大公開!

「頭痛」とひとくくりにしがちですが、実はその背景は千差万別!

大きく分けると、頭痛は「一次性頭痛」と「二次性頭痛」の2つの種類に分類されます。

① 一次性頭痛(いちじせいずつう)

いわゆる「頭痛もち」の頭痛です。

脳や体に特定の病気があるわけではなく、頭痛そのものが本体です。

命に別状はありませんが、生活の質(QOL)を著しく下げる、とってもツラい頭痛です。

代表的なものに「緊張型頭痛」、「片頭痛」、「群発頭痛」があります。

② 二次性頭痛(にじせいずつう)

これが要注意!

脳の病気(くも膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎など)や、他の体の病気(高血圧や副鼻腔炎など)が原因となって起こる頭痛です。

中には、命に直結する危険な頭痛が含まれています。

この記事では、まず厄介な「一次性頭痛」の代表的な3つの種類と、その見分け方を見ていきましょう!

一番多いのはこれ!緊張型頭痛ってどんな痛み?

「あ〜、またこの感じ…」と、多くの人が経験する最もポピュラーな頭痛が、この**「緊張型頭痛(きんちょうがたずつう)」**です。

どんな痛み?

  • 「ヘルメットをかぶったみたい」
  • 「ハチマキでギューッと締め付けられる感じ」
  • 「頭に重い石が乗っているみたい」

こんな風に表現されることが多い、鈍くて持続的な圧迫感が特徴です。

ズキズキと脈打つような痛み(拍動性)は、あっても軽いことがほとんど。

いつ痛む?

数十分で治まることもあれば、ダラダラと数日間続くこともあります。

「気づいたら朝からずっと痛い」「夕方になると特にひどい」という方も多いですね。

他の症状は?

片頭痛のような「吐き気」や「嘔吐」は、ほとんどありません。

「光がまぶしい」「音がうるさい」と感じることも、あっても軽度です。

ただし、首や肩の「コリ」を伴うことが非常に多いのが特徴です。

原因は?

主な原因は、文字通り「緊張」です。

  1. 身体的な緊張(体のコリ)
    • 長時間のデスクワークやスマホ操作による**「悪い姿勢」**。
    • 同じ姿勢が続くと、首・肩・背中の筋肉がカチコチに!
    • この筋肉の緊張が、頭部への血流を悪くしたり、神経を刺激したりして痛みを引き起こします。
  2. 精神的な緊張(心のコリ)
    • 仕事や人間関係の**「ストレス」**。
    • 不安やプレッシャーを感じると、体は無意識に力が入ってしまいます。
    • この心の緊張が、体の緊張を呼び、頭痛につながるのです。

こんな人がなりやすい!

  • デスクワーカーや、長時間スマホを見る人
  • まじめで、ストレスを溜め込みやすい人
  • 運動不足の人

緊張型頭痛は、命に関わることはありませんが、生活の質をジワジワと下げてくる厄介なヤツです。

「いつものこと」と我慢せず、早めの対処(ストレッチやリラックス)が大切ですよ!

ドクンドクンがツラい…片頭痛の正体と意外な誘因

「今日はもうダメだ…」と、あなたの予定をすべてキャンセルさせてしまうほどのツラい頭痛、それが「片頭痛(へんずつう)」です。

どんな痛み?

  • 「ズキン!ズキン!」と脈拍に合わせて痛む(拍動性)。
  • 頭の片側(こめかみ〜目のあたり)が痛むことが多い(両側の場合もあります)。
  • 痛みは中等度〜重度で、「日常生活に支障が出る」レベルの強さです。
  • 動くと痛みが悪化するため、じっと暗い部屋で横になりたくなります。

いつ痛む?

  • 発作的に起こります。
  • 痛みは4時間〜72時間(3日間)続くことがあります。
  • 頻度は人それぞれで、月に1〜2回の人もいれば、週に何度も起こる人もいます。

他の症状は?

片頭痛は、頭痛以外の「随伴症状(ずいはんしょうじょう)」が非常に特徴的です。

  • 吐き気・嘔吐: 頭痛と共にムカムカしたり、実際にもどしてしまったりします。
  • 光過敏(ひかりかびん): 普段は気にならない部屋の明かりや太陽光が、異常にまぶしく感じます。
  • 音過敏(おとかびん): テレビの音や人の話し声が、頭に響いてツラくなります。
  • におい過敏: 特定のにおい(香水やタバコなど)で気分が悪くなることも。

「前兆(ぜんちょう)」がある人も

片頭痛の方の約20〜30%は、頭痛が始まる直前(5〜60分前)に「前兆」と呼ばれる不思議な現象を経験します。

  • 閃輝暗点(せんきあんてん): 目の前にギザギザした光(稲妻や万華鏡のよう)が見え、その部分が一時的に見えにくくなる。
  • 感覚症状: チクチクするしびれが、指先から腕、そして顔へと広がっていく。

原因は?

片頭痛のメカニズムは完全には解明されていませんが、脳の「三叉神経(さんさしんけい)」という神経の周りや、脳の血管が関わっていると考えられています。

何らかの刺激で三叉神経が興奮し、血管の拡張や炎症を引き起こす物質が放出され、あの「ズキン!ズキン!」という痛みが生じるとされています。

誘因(引き金)は?

片頭痛は、特定の「誘因」によって引き起こされることが多いのも特徴です。

  • ストレス: ストレスがかかっている時よりも、「ストレスから解放された時」(例:平日は大丈夫なのに、週末になると頭痛がする)に起こりやすいと言われます。
  • ホルモンバランス: 特に女性に多く、「生理(月経)の前後」に発作が起きやすいです。
  • 食べ物・飲み物: チーズ、チョコレート、赤ワイン(ポリフェノール)、柑橘類、ナッツ類など。
  • 環境: 天気や気圧の変化(特に台風や雨の日)、人混み、強い光、大きな音。
  • 睡眠: 寝不足はもちろん、「寝すぎ」も誘因になります。

目の奥がえぐられる!群発頭痛の鬼のような痛み

一次性頭痛の中で、最も痛みが激しいとされるのが「群発頭痛(ぐんぱつずつう)」です。

その痛みは「自殺頭痛」とまで呼ばれるほど強烈で、経験した人は「目の奥をキリでえぐられるよう」「じっとしていられない」と表現します。

どんな痛み?

  • 片側の目の奥、またはその周辺(側頭部)に、耐えがたいほどの激痛が走ります。
  • 「痛くてじっとしていられない」「頭を壁に打ち付けたくなる」ほどの痛みです。

いつ痛む?(ここが超重要!)

  • 「群発期」と呼ばれる特定の期間(数週間〜数ヶ月)に、毎日ほぼ同じ時間帯(特に睡眠中や明け方)に起こります。
  • 1回の発作は15分〜3時間程度で、これが1日に1〜8回も起こります。
  • 群発期が終わると、数ヶ月〜数年間は全く痛みがなくなる「寛解期(かんかいき)」に入ります。

他の症状は?

痛む側の目に、以下のような「自律神経症状」が必ずと言っていいほど伴います。

  • 目の充血
  • 涙が出る
  • 鼻水・鼻づまり
  • まぶたが下がる・腫れる
  • 顔の発汗

片頭痛が「静かな暗い部屋でじっとしていたい」のに対し、群発頭痛は「痛すぎてじっとしていられず、歩き回ったり、体を揺すったりする」という違いがあります。

原因は?

原因はまだはっきりしていませんが、脳の「視床下部(ししょうかぶ)」という体内時計をコントロールする部分が関わっているのではないか、と言われています。

誘因(引き金)は?

  • アルコール: 群発期にアルコールを飲むと、ほぼ確実に発作が誘発されます。
  • 喫煙: 患者の多くは喫煙者であると報告されています。

群発頭痛は、市販の鎮痛薬ではほとんど効果がありません。この特徴に当てはまったら、絶対に我慢せず、すぐに「頭痛専門医」や「脳神経内科」を受診してください。

3つの質問で解決!頭痛の種類をざっくり見分ける神見分け方チェック

「私の頭痛、結局どの種類なの?」とお悩みの方へ。

ここでは、あなたの頭痛の種類を見分けるための、3つのシンプルな質問(見分け方)をご用意しました!

あくまでセルフチェックの参考ですが、自分の頭痛の傾向を知る手がかりになりますよ。

見分け方①:痛みの頻度や持続時間は?

A: ダラダラと数時間〜数日間続く。ほぼ毎日痛いこともある。

B: 月に数回〜週に数回、発作的に起こる。痛みは4時間〜3日間くらい続く。

C: ある期間(数週間)だけ、毎日決まった時間に1〜2時間ほどの激痛が起こる。

見分け方②:痛む場所と痛みの種類(ズキズキ?締め付け?)

A: 頭全体、または後頭部〜首筋が「ギューッ」と締め付けられる、圧迫される感じ。

B: 頭の片側(または両側)が「ズキン、ズキン」と脈打つように痛む。

C: 決まって片側の目の奥が「えぐられるように」激しく痛む。

見分け方③:吐き気・光・音への過敏さがあるか?

A: 吐き気や、光・音が気になることは、ほとんどない(あっても軽い)。

B: 吐き気やムカムカを伴うことが多い。光や音がまぶしく、うるさく感じる。

C: 吐き気はあまりないが、痛む側の目が充血したり、涙や鼻水が出たりする。

診断結果(あくまで目安です!)

  • 「A」が多かったあなた → 緊張型頭痛 の可能性
    一番多いタイプの頭痛です。まずはリラックス&ストレッチを心がけてみましょう。
     
  • 「B」が多かったあなた → 片頭痛 の可能性
    日常生活への支障が大きいツラい頭痛です。誘因を避ける生活改善と、早めの服薬がカギになります。
     
  • 「C」が多かったあなた → 群発頭痛 の可能性
    非常にまれですが、痛みが強烈な頭痛です。すぐに専門医の受診が必要です!

【ざっくり早分かり!3大頭痛の見分け方(比較表)】

頭痛の種類緊張型頭痛片頭痛群発頭痛
痛みの特徴締め付けられる(圧迫感)脈打つ(ズキンズキン)突き刺す・えぐられる
痛む場所頭全体・後頭部・首筋片側が多い(両側も)片側の目の奥(必ず片側)
痛みの強さ軽度~中等度中等度~重度激痛(耐えがたい)
持続時間30分~7日間(ダラダラ)4時間~72時間(発作的)15分~3時間(群発期に集中)
頻度時々~ほぼ毎日月に数回~週に数回群発期に1日1~8回
随伴症状肩や首のコリ吐き気・嘔吐 光・音・におい過敏目の充血・涙・鼻水 (じっとしていられない)
日常生活なんとか可能困難・寝込みたい不可能
動くと?変わらない悪化するじっとしていられない

(参照:日本頭痛学会「頭痛診療ガイドライン」などを基に、分かりやすく作成)

どうでしたか?

「うーん、どっちも当てはまる気がする…」という方もご安心ください。

緊張型頭痛と片頭痛を両方持っている(併発している)方も少なくありません。

大切なのは、「私の頭痛は〇〇だ!」と決めつけることではなく、「どうやら片頭痛っぽいから、今度お医者さんに相談してみよう」と、次のアクションにつなげることです!

ちょっと待って!命に関わる危険な頭痛(二次性頭痛)の見分け方とサイン

ここまでは「一次性頭痛」の話をしてきましたが、ここからは本当に重要な、命に関わる「二次性頭痛」の話です。

二次性頭痛とは、前述の通り、脳の病気(くも膜下出血、脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、髄膜炎など)が原因で起こる頭痛です。

これらは「いつもの頭痛」とは全く別物!

一刻を争うため、見分け方を知っておくことが、あなたやあなたの大切な人の命を守ることにつながります。

「これは即病院!」危険な頭痛の見逃せない緊急サイン5つ

以下の5つのサイン(頭痛の国際分類では「レッドフラッグサイン」と呼ばれます)のどれか一つでも当てはまったら、市販薬で様子を見たり、明日まで待ったりしてはいけません!

すぐに救急車を呼ぶか、脳神経外科などの救急病院を受診してください。

1. ⚡️「突然」始まった、今までに経験したことのない激痛

「バットで殴られたような」「雷が落ちたような」と表現される、突然(突発性)の激しい頭痛です。

痛みのピークが数分以内に一気にやってきます。

【疑われる病気】 くも膜下出血
・ 脳の動脈瘤(こぶ)が破裂し、脳の表面に出血する病気です。
・ 致死率が非常に高く、発症したらすぐに治療が必要です。

2. 😵 意識障害、麻痺、ろれつが回らないなどの「神経症状」を伴う

頭痛だけでなく、以下のような症状が一緒に出ている場合は超危険です!

  • 意識がもうろうとする、呼びかけに反応が鈍い
  • 手足の片側が動きにくい、しびれる
  • うまく話せない、ろれつが回らない
  • 物が二重に見える、視野の一部が欠ける
  • 激しいめまい、まっすぐ歩けない

【疑われる病気】 脳卒中(脳梗塞、脳出血)、脳腫瘍
・ 脳の血管が詰まったり(梗塞)、破れたり(出血)しています。
・ 一刻も早く治療を開始しないと、命に関わったり、重い後遺症が残ったりします。

3. 🤒 発熱、首の硬直(首が曲がらない)を伴う

  • 頭痛と共に、高熱(38度以上)が出ている。
  • 首の後ろがカチカチに硬くなり、あごを胸につけるように首を前に曲げられない(項部硬直)。
  • 吐き気や嘔吐を伴うことも多いです。

【疑われる病気】 髄膜炎(ずいまくえん)、脳炎
・ 脳や脊髄を覆う「髄膜」に、細菌やウイルスが感染して炎症を起こしています。
・ これも緊急治療が必要な、非常に危険な病気です。

4. 📈 どんどん悪化していく頭痛、様子がおかしい

  • 最初は我慢できた頭痛が、数日〜数週間かけて日ごとにどんどん強くなっていく。
  • 朝方に特に痛みが強い(朝方頭痛)。
  • けいれん発作を起こした。
  • 性格が変わった、物忘れがひどくなったなどの変化がある。

【疑われる病気】 脳腫瘍、慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)
・ 脳の中に「できもの(腫瘍)」ができたり、じわじわと出血が溜まったりして、脳を圧迫している可能性があります。

5. 👴 50歳以降に「初めて」経験する頭痛

今まで「頭痛もち」ではなかった人が、50歳を過ぎてから初めて強い頭痛を経験した場合、(もちろん緊張型頭痛などの場合もありますが)危険な病気が隠れている可能性をまず考える必要があります。

特に、側頭部(こめかみ)が痛く、物を噛むとあごが疲れる、熱っぽいなどの症状がある場合

【疑われる病気】 「側頭動脈炎(そくとうどうみゃくえん)」

という血管の炎症の可能性もあり、失明の危険があるため緊急の治療が必要です。

(参照:日本頭痛学会MSDマニュアル家庭版 ほか)

迷ったら受診!専門医の診察が必要なのはこんな頭痛

「上の緊急サインには当てはまらないけど、やっぱり不安…」

「いつもの頭痛だけど、最近ひどくてツラい…」

そんな時も、我慢は禁物です!以下のような場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

何科に行けばいい?

「脳神経内科」または「脳神経外科」がベストです。

最近は「頭痛外来」という専門の窓口がある病院も増えています。

まずはかかりつけの「内科」で相談し、必要に応じて紹介してもらうのも良い方法です。

こんな時は受診を検討しましょう!

  • 市販の鎮痛薬を飲んでも、あまり効かなくなってきた。
  • 市販薬を飲む回数が、月に10日以上ある。(後述する「薬剤の使用過多による頭痛」の危険があります)
  • 頭痛のせいで、仕事や学校を休んだり、家事が手につかなかったりすることがある。
  • 今までの頭痛と、痛みのパターンが変わってきた(頻度が増えた、痛みが強くなったなど)。
  • 自分の頭痛の種類(緊張型か片頭痛かなど)を、はっきり診断してもらいたい。
  • 見分け方を試したけど、よくわからない。

お医者さんに上手に伝えるコツ「頭痛ダイアリー」

受診した際、お医者さんに症状を正確に伝えることは、正しい診断のためにとても重要です!

でも、いざ診察室に入ると「えーっと、いつからだっけ…」と忘れてしまいがちですよね。

そこでおすすめなのが「頭痛ダイアリー(日記)」です!

  • いつ痛くなったか(日付と時間)
  • どのくらい続いたか
  • どんな痛みか(ズキズキ、締め付けられるなど)
  • どのくらい痛かったか(10段階評価など)
  • 他の症状はあったか(吐き気、光過敏など)
  • は飲んだか?効いたか?
  • 誘因になりそうなこと(生理、天気、寝不足、食べたものなど)

これをメモしておくだけで、あなたの頭痛の種類を見分けるための、最高に価値のある情報になります!

種類別!頭痛を和らげるための市販薬(OTC)の上手な使い方と注意点

「病院に行くほどではないけど、今この痛みをなんとかしたい!」

そんな時、調剤薬局やドラッグストアで手に入る「市販薬(OTC医薬品)」は心強い味方です。

でも、「どれを選べばいいの?」と迷ってしまいますよね。

ここでは、薬剤師の視点から、頭痛の種類に合わせた上手な薬の選び方と、絶対に知っておいてほしい注意点をお伝えします!

頭痛の種類によって効く薬が違う?薬剤師が教える上手な選び方

市販の頭痛薬には、主に以下のような成分が含まれています。

アセトアミノフェン

(商品名例:タイレノールA®など)

特徴: 脳の中枢神経に作用して、痛みの感覚をやわらげます。

メリット: 胃への負担が少なく、空腹時でも比較的飲みやすいです。妊娠中・授乳中の方や、お子さん(用量に注意)にも使いやすい成分です。

得意な頭痛: 軽度〜中等度の緊張型頭痛片頭痛の軽い発作。

NSAIDs(エヌセイズ:非ステロイド性抗炎症薬)

(成分名:イブプロフェン、ロキソプロフェン、アスピリンなど)

(商品名例:ロキソニンS®、イブ®、バファリンA®など)

特徴: 痛みの元となる物質「プロスタグランジン」の生成を抑えます。**「炎症」を抑える作用と「鎮痛」**作用が強力です。

デメリット: 胃の粘膜を荒らす副作用が出ることがあるため、原則として食後に飲む必要があります。ぜんそくの方は使えない場合があります。

得意な頭痛: 緊張型頭痛はもちろん、炎症が関わる片頭痛の発作時に効果的です。

鎮静成分・鎮痙成分

(成分名:ブロモバレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素など)

特徴: 脳の興奮を鎮め、リラックスさせることで痛みを和らげます。

注意点: 眠気が出ることがあります。服用後は車の運転などをしないでください。また、依存性のリスクがあるため、漫然とした長期連用は避けるべきです。

カフェイン(無水カフェイン)

特徴: 多くの合剤(複数の成分が入った薬)に含まれています。脳の血管を収縮させる作用があり、鎮痛成分の働きを助ける(鎮痛補助)効果があります。

注意点: カフェインの摂りすぎは、逆に頭痛を悪化させたり、睡眠を妨げたりすることがあります。コーヒーやエナジードリンクをよく飲む人は注意が必要です。

じゃあ、どう選ぶ?

緊張型頭痛(ギューッと締め付けられる)の場合:

まずはアセトアミノフェンや、イブプロフェンなどのNSAIDs単剤(単一成分)の薬を試してみましょう。

胃が弱い方はアセトアミノフェンがおすすめです。

片頭痛(ズキンズキンと脈打つ)の場合:

NSAIDs(ロキソプロフェンやイブプロフェン)が比較的効果を発揮しやすいです。

「痛くなりそう!」という発作の初期に飲むのが最も効果的です!

吐き気を伴う場合は、胃に優しいアセトアミノフェンを選ぶか、早めに医療機関で吐き気止めも処方してもらうのが良いでしょう。

(※注意:市販薬で効かない重度の片頭痛には「トリプタン系」という専門の処方薬が必要です)

群発頭痛(目の奥の激痛)の場合:

残念ながら市販薬は効きません。

すぐに専門医を受診してください。

【薬剤師からのアドバイス
「とりあえず一番強いのをください」と言われることがありますが、「強さ」=「あなたに合っている」とは限りません。
まずは単一成分のシンプルな薬から試し、それでも効かない場合は、薬剤師に「どんな痛みで、どの薬が効かなかったか」を具体的に相談してくださいね!

これだけはダメ!薬の飲みすぎによる「頭痛悪化」にご用心

これが、私たち薬剤師が一番お伝えしたい、最も恐ろしいワナです。

その名も…

「薬剤の使用過多による頭痛」(MOH:Medication Overuse Headache)

これは、「頭痛を治すために飲んでいる薬が、逆に新しい頭痛の原因になってしまう」という、悪夢のような状態です。

なぜ起こるの?

  • 頭痛薬(特に市販薬や処方薬のトリプタン)を頻繁に飲みすぎると、脳が痛みに過敏になってしまいます。
  • 薬が切れた時に、以前よりもひどい「反跳(はんちょう)性の頭痛」が起こるようになります。
  • その痛みを抑えるために、また薬を飲む…この「負のループ」に陥ってしまうのです。

MOHを疑うサイン
・ もともと片頭痛や緊張型頭痛があった。
・ 鎮痛薬を「月に10日以上」(または15日以上 ※成分による)のペースで、3ヶ月以上飲み続けている。
・ ・ 薬を飲んでも、以前ほど効かなくなった。
・ 頭痛がない日でも、頭がスッキリしない、重い感じがする。
・ 朝起きた時から頭が痛いことが多い。

どうすれば治るの?

MOHの治療は、まず「原因となっている薬をやめること」です。

しかし、自己判断で急にやめると、激しい離脱症状(頭痛の悪化)が起こることがあり、非常につらいです。

もし「私、MOHかも…」と思ったら、絶対に一人で悩まず、すぐに頭痛専門医に相談してください!

専門医の管理のもとで、原因薬の中止や、予防薬(頭痛が起こりにくくする薬)の導入など、適切な治療を行う必要があります。

市販薬は「頓服(とんぷく)」、つまり「痛い時だけ飲む」ものです。

ダラダラと毎日飲み続けたり、「痛くなりそうだから」と予防的に飲んだりするのは、MOHのリスクを高めるため絶対にやめましょう!

「月に10日」というラインを、ぜひ覚えておいてくださいね。

まとめ 頭痛の種類と見分け方を知って、痛みに負けない毎日を送ろう!

長い記事を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

あなたの頭痛がどの種類なのか、その見分け方のヒントは見つかりましたか?

この記事でお伝えしたかった大切なポイントを、もう一度おさらいします。

  • 頭痛には種類がある!
    いつもの頭痛(一次性:緊張型、片頭痛など)と、危険な頭痛(二次性:くも膜下出血など)があります。
  • 自分の頭痛を知ろう!
    痛み方、頻度、随伴症状などで、自分の頭痛種類をある程度見分けることができます。
    特に「片頭痛」と「緊張型頭痛」では、対処法や有効な薬が異なります。
  • 危険なサインを見逃さないで!
    「突然の激痛」「麻痺やろれつが回らない」「発熱・首が曲がらない」などのサインは、命に関わる見分け方です。即、救急受診してください。
  • 薬の飲みすぎは絶対にダメ!
    市販薬の飲み過ぎ(月に10日以上)は、「薬剤の使用過多による頭痛(MOH)」という新たな頭痛を生む危険があります。

この記事を読んで、「私の頭痛、片頭痛かも」「もしかして薬飲みすぎかも…」と、何かに気づくことができたなら、それがあなたの「頭痛スッキリ生活」への輝かしい第一歩です!

※ この記事は、あくまで「診断の参考」であり、「自己診断」を確定させるものではありません。
必ず医療機関を受診してください!そして、正しい治療を受けましょう。