
透明感のある美肌を目指して、毎日ビタミンCを摂る。
もはや美の常識ですよね!
あなたもきっと、日焼け対策やニビキ予防、ハリのある毎日のために、熱心にビタミンCを補給していることでしょう。
その美への情熱、本当に素敵です!
でも、ちょっと待って。
キレイになるために!と頑張るあまり、摂りすぎてしまって、逆にツラい症状に悩まされていませんか?
美肌への近道は、ただ量を増やすことではありません。
あなたの体に合った「黄金バランス」を知ることなんです。
この記事で、摂りすぎのリスクをしっかり学び、誰よりも賢く、効率的に美肌を目指しませんか?
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キレイになるため!のはずが…そのビタミンC、逆効果かも?

「どうせ飲むなら、たっぷり摂りたい!」
「今日は紫外線をたくさん浴びたから、ビタミンCを2倍に増やしておこう!」
美肌への意識が高いあなただからこそ、こんな風に考えてしまうことはありませんか?
そのお気持ち、痛いほどよくわかります。
そして、多くの方がこう信じています。
「ビタミンCは水溶性ビタミンだから、摂りすぎても余分な分は尿と一緒に体の外に出ていく。
だから、いくら摂っても大丈夫!」
え?ビタミンCはたくさん摂っちゃいけないの?
確かに、この言葉は半分は真実です。
ビタミンCは水に溶けやすい性質のため、体内に長時間留まることはなく、脂溶性ビタミンのように過剰に蓄積して重篤な中毒を引き起こすことは、ほとんどありません。
でも、だからといって「全くの無害」というわけではないのが、今回の物語の重要なポイント。
私たちの体は、一度に大量のビタミンCが入ってくると、その処理能力の限界を超えてしまい、びっくりして悲鳴をあげてしまうことがあるのです。
考えてみてください。
どんなに体に良い食べ物でも、一度にバケツ一杯食べたらお腹を壊してしまいますよね。
それと同じで、サプリメントなどで急激にビタミンCの血中濃度が上がると、胃や腸がその変化に対応しきれず、かえって体に負担をかけてしまうことがあるのです。
あなたが「美肌のため」と信じて毎日続けているその一杯が、あなたの体を内側から疲れさせていたら?
もしかしたら知らず知らずのうちに、キレイになるどころか、不調の原因という「逆効果」を生み出しているとしたら…?
さあ、あなたの体が発しているかもしれない小さなSOSサインに、一緒に耳を傾けてみましょう。
美肌の敵!?ビタミンCの摂りすぎで現れるツラい症状リスト

「最近、なんだかお腹の調子が…」
「理由もなくムカムカする…」
そんな不調を感じているなら、それはビタミンCの摂りすぎによる症状かもしれません。
体が「もう限界だよー!」と教えてくれているサイン。
具体的にどんな症状が現れるのか、見ていきましょう。
お腹の不調はキレイの赤信号!腸内環境の乱れ
ビタミンCの摂りすぎで、最も多くの人が経験するのが下痢、腹痛、お腹の張りといった消化器系の症状です。
なぜ、こんなことが起こるのでしょうか?
その鍵は「浸透圧(しんとうあつ)」という言葉にあります。
少し難しく聞こえますが、ご心配なく。
きゅうりに塩を振ると水分が出てくる、あの現象をイメージしてください。
サプリメントなどで一度に大量のビタミンCを摂取すると、腸の中のビタミンC濃度が急激に高まります。
すると、体は腸の中の濃度を薄めようとして、腸壁から水分をたくさん引き込みます。
その結果、腸内の水分量が過剰になり、便がゆるくなって下痢を引き起こしてしまうのです。
これを専門的には「浸透圧性下痢」と呼びます。
お腹がゴロゴロしたり、キューっと痛んだりするのは、この仕組みが働いているサイン。
そして、忘れてはならないのが、「美肌は美腸から」という言葉です。
下痢が続くということは、腸内環境が乱れている証拠。
腸内環境が乱れると、せっかく摂った他の栄養素の吸収が悪くなったり、悪玉菌が増えて有害物質が発生し、それが血液に乗って全身を巡り、肌荒れやくすみの原因になったりすることも…。
つまり、ビタミンCの摂りすぎによるお腹の不調は、美肌作りの努力を台無しにしてしまう、まさに「美肌の敵」と言えるのです。
吐き気や気分の悪さは体が「もう受け止めきれない!」というサイン
下痢と並んでよく見られるのが、吐き気や嘔吐、胃の不快感です。
ビタミンCは、化学名を「アスコルビン酸」という酸性の物質です。
空腹時に高濃度のサプリメントなどを飲むと、その酸が胃の粘膜を直接刺激して、ムカムカしたり、吐き気を催したりすることがあります。
これは、体が「これ以上、受け止めきれないよ!」と、受け入れを拒否している状態。
あなたの体が、あなた自身を守るために起こしている正常な防御反応なのです。
【ちょっと専門的な話:長期的な超・過剰摂取のリスク】
非常にまれなケースですが、長期にわたって極端に大量のビタミンC(例えば、1日に何万mgも)を摂り続けた場合、尿中のシュウ酸塩の量を増加させ、腎結石のリスクを高める可能性があるという報告もあります。(出典: MSDマニュアル家庭版 – ビタミンC過剰症)
通常のサプリメント利用で心配する必要はほとんどありませんが、「摂れば摂るほど良い」という考えには、こうした隠れたリスクも潜んでいることを、知識として知っておくと安心です。
「美肌」と「摂りすぎ」の境界線はどこ?黄金バランスを知ろう

「症状が出るのはわかったけど、じゃあ一体、どれくらいの量からが『摂りすぎ』になるの?」
そうですよね、一番知りたいのはそこです。
あなたの美肌作りを加速させる「黄金バランス」の境界線を、国の信頼できるデータをもとに、はっきりとお見せします!
厚生労働省推奨!私たちが1日に本当に必要なビタミンCの量って?
まず知っておきたいのが、健康を維持するために「これくらいは摂りましょうね」と国が推奨している量です。
厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、成人(12歳以上)のビタミンCの推奨量は、1日あたり100mgとされています。(出典: 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」- ビタミン(水溶性ビタミン))
「え、たった100mgでいいの?」と驚いたかもしれません。
この100mgという量は、心臓血管疾患やがんなどの生活習慣病を予防し、体内のビタミンCが欠乏しないための量として設定されています。
実は、この100mgという量は、普段の食事で意外と簡単に摂ることができるんです。
▼ビタミンC 100mgって、どれくらい?(食品可食部100gあたりの含有量)
食品 | ビタミンC含有量 | 100mgを摂るための目安 |
赤パプリカ | 170mg | 約60g(中サイズ半分) |
黄パプリカ | 150mg | 約70g(中サイズ半分強) |
キウイフルーツ | 71mg(緑肉種) | 約140g(大きめ1個半) |
ブロッコリー | 140mg(生) | 約70g(4~5房) |
レモン(果汁) | 50mg | 200g(約2個分の果汁) |
どうでしょう?
パプリカやブロッコリーを意識して食事に取り入れれば、推奨量はあっという間にクリアできるのです。
レモンに豊富なイメージがありますが、実はパプリカやキウイの方が効率的に摂取できるのは、意外な発見ですよね。
サプリでプラスするなら「上限」はここまで!具体的な数値で解説
では、美肌やストレス対策のため、食事に加えてサプリメントで補給したい場合、どこまでが安全なラインなのでしょうか?
そこで登場するのが「耐容上限量(たいようじょうげんりょう)」という言葉です。
これは、「これ以上摂取し続けると、健康に悪い影響が出るリスクが高まりますよ」という、安全のためのデッドラインです。
同じく「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人のビタミンCの耐容上限量は、1日あたり2,000mg(=2g)と定められています。
▼年齢別ビタミンCの推奨量と耐容上限量(1日あたり)
年齢 | 推奨量 (mg) | 耐容上限量 (mg) |
1~2歳 | 40 | – (策定されず) |
3~5歳 | 45 | 400 |
6~7歳 | 55 | 650 |
8~9歳 | 65 | 900 |
10~11歳 | 80 | 1,200 |
12~14歳 | 100 | 1,800 |
15~17歳 | 100 | 1,800 |
18歳以上 | 100 | 2,000 |
この表を見て、ハッとした方もいるかもしれません。
市販のサプリメントや美容ドリンクには、「ビタミンC 1,000mg配合!」や「1本で2,000mg!」と書かれた製品が数多くあります。
つまり、高濃度サプリを1つ飲むだけで、簡単に上限量に達してしまうのです。
もしあなたが、1,000mgのサプリを朝晩2回飲み、さらにビタミンC入りのドリンクを飲んでいたら…?
食事から摂る分も合わせると、知らないうちに上限を大きく超えている可能性があります。
これが、ビタミンCの摂りすぎ症状が起こる、最も多いパターンなのです。
やっちゃった!摂りすぎた時のリセット術と賢いサプリ選びのコツ

もし、この記事を読んで「私、摂りすぎかも…」と不安になったとしても、大丈夫。
落ち着いて対処すれば、何も怖いことはありません。
ここからは、具体的なリセット術と、これから賢くビタミンCと付き合っていくためのヒントをお伝えします。
まずは飲むのをストップ!体を優しく休ませてあげよう
下痢や吐き気などの症状が出てしまった場合、最もシンプルで効果的な対処法は、原因となっているビタミンCサプリメントやドリンクの摂取を、一旦ストップすることです。
ビタミンCは水溶性なので、摂取をやめれば、体内の過剰な分は24時間以内に尿として排出され、数日もすれば不快な症状は自然と落ち着いてくることがほとんどです。
その間は、胃腸に負担をかけないよう、消化の良い食事を心がけ、常温の水や白湯で水分補給をしっかり行い、体がリセットされるのを優しく待ってあげましょう。
【薬剤師からのアドバイス:病院へ行く目安】
ほとんどの場合はセルフケアで改善しますが、
・サプリをやめても、数日間症状が全く改善しない
・我慢できないほどの激しい腹痛や嘔吐が続く
・血便や血尿など、普段と違う症状が見られる
こんな場合は、他の病気が隠れている可能性も考えられますので、自己判断せず、かかりつけの医療機関を受診してくださいね。
これからは「量より質」!薬剤師が教えるサプリ選びの3つのポイント

今回の経験を機に、ビタミンCとの付き合い方を見直してみませんか?
美肌への道は、「がむしゃらに量を摂る」ステージから、「賢く質を重視する」ステージへとステップアップするチャンスです。
調剤薬局の薬剤師として、プロの視点からサプリ選びの3つのポイントを伝授します。
1.含有量を確認し、「分割摂取」を基本にする
1粒で1,000mgのような高用量サプリは、一度に飲むと体に負担がかかりやすいだけでなく、吸収しきれなかった分が多く排出されてしまい、実は非効率的です。
1回あたり200mg~500mg程度の含有量の製品を選び、それを1日数回(例:朝食後と夕食後)に分けて飲むのが、最も体に優しく、効率的な摂り方です。
2.吸収率を考えた「+α」の工夫に注目する
最近では、吸収率を高めるための工夫がされたサプリメントも増えています。
タイムリリース型:体内でゆっくりと時間をかけて溶けるように設計されており、ビタミンCの血中濃度を長時間安定させることができます。
リポソーム型:ビタミンCをリン脂質の膜でコーティングすることで、消化管での分解を防ぎ、細胞への吸収率を高める技術です。
3.信頼できる品質の証を探す
毎日口にするものだからこそ、安全性にはこだわりたいですよね。
サプリメントを選ぶ際は、「GMP(Good Manufacturing Practice)」というマークを探してみてください。
これは、原材料の受け入れから製造、出荷まで、製品が「安全に」「一定の品質」が保たれるようにするための製造工程管理基準です。
GMP認定工場で製造された製品は、品質管理が徹底されている一つの目安になります。
まとめ:摂りすぎ症状を知って、かしこく美肌ビタミンC生活を

今回は、美肌の強い味方であるビタミンCの、意外と知られていない摂りすぎによる症状と、その境界線についてお話ししました。
もう一度、大切なポイントをおさらいしましょう。
・ビタミンCは摂りすぎると、下痢や吐き気などの症状が出ることがある。
・1日の摂取量の上限は、食事も含めて2,000mgが目安。
・サプリは高用量を一度に摂るより、適量を数回に分けて摂るのが賢い選択。
ビタミンCは、あなたの美と健康を力強くサポートしてくれる、素晴らしい栄養素です。
だからこそ、その特性を正しく理解し、自分の体と相談しながら「黄金バランス」を見つけることが、誰よりも賢くキレイになるための最短ルートなのです。